◇第106回全国高校野球選手権大会第3日・1回戦 金足農4-6西日本短大付(2024年8月9日 甲子園)
金足農の先発・吉田大輝(2年)は7回154球の力投も9安打5失点で降板。チームを勝利に導くことはできず、試合後は涙が止まらなかった。
立ち上がり、先頭・奥に左前打を許すと、自身の暴投で一気に三塁まで進まれ無死三塁といきなりピンチを招いた。さらに2番・井上に前進守備の三遊間を破る適時打を浴び、1アウトも奪えないまま先制点を奪われた。
それでも5番・村上をニゴロ併殺に仕留め、最少失点で切り抜けると、4回まで毎回走者を出しながらも粘りの投球でしのいだ。
ただ、0-1の5回、安打と四球で無死満塁とすると、村上の右犠飛で2点目を失い、続く6番・斉藤にも左前適時打、8番・山下にも右前適時打を浴び、この回4点を失った。
試合後は真っ赤な目で「3年生の先輩方の代で投げさせてもらって、自分がエース番号もらっているので抑えなければいけなかったのに、初回から自分の不甲斐ないピッチングばかりで点を取られてしまって…3年生に申し訳ないです。自分はまだ甲子園にはふさわしくない投手でした」と涙が止まらなかった。
9回の猛反撃には「本当に3年生の先輩方が“お前を負け投手にしないからな”と声をかけてもらって、先輩たちの気合を感じていました」と振り返り「自分が全部の回にマウンドに立てなかったのが悔しくて、それでも先輩方とか仲間が必死な思いでつないでくれて、もしかしたらひっくり返すんじゃないかと思ったんですけど、自分のふがいなさが出てしまった試合で悔しいです」と肩を落とした。
準優勝した2018年時のエースだった兄・輝星(現オリックス)も甲子園を訪れ、観戦。「来てくれていると信じて投げたんですけど、今日はふがいないピッチングになってしまって恥ずかしいです」と唇をかんだ。
そして、来年に向け「どれだけ投げても壊れない体をつくって、全試合マウンドを譲らない投手になって戻ってきたいです。甲子園の砂は持ち帰っていません」と固い決意を胸に悔しさの残る聖地を後にした。