◇パリ五輪第15日 レスリング（2024年8月9日 シャンドマルス・アリーナ）
男子フリースタイル74キロ級の高谷大地（29＝自衛隊）が9日、初戦となる2回戦でヘアンドリ・ガルソンカバジェロ（キューバ）を10―0で下し、準々決勝進出を決めた。
2大会ぶり3度目の五輪出場を果たした40歳“キューバの怪人”から五輪初勝利を飾った。圧倒的な試合だった。序盤から積極的にタックルを決め得点を重ねると10―0のテクニカルスペリオリティー勝ちで準々決勝に駒を進めた。マットを下りると、スタンドの声援に向かって両手を振って笑顔を見せた高谷。会心の五輪デビューとなった。
パリ五輪内定が決まった際に「自分が五輪に出るなんて、普通に不可能なことだと思っていた。一つずつ積み重ねて結果に結びついたので、純粋にうれしい」と素直な思いを語っていた高谷。12年ロンドン大会から3大会連続で五輪に出場し、今大会は86キロ級代表争いで石黒隼人（自衛隊）に敗れた「タックル王子」こと兄の惣亮が届かなかった五輪の表彰台へ――。無欲の挑戦が始まった。
◇高谷 大地（たかたに・だいち）1994年（平6）11月22日生まれ、京都府出身の29歳。兄の影響で小1から競技を始める。京都・網野高から拓大に進み、13年全日本選抜60キロ級で初優勝。14年の世界選手権は65キロ級で初出場し7位、昨年は74キロ級で10位だった。自衛隊所属。1メートル66。3兄弟の三男で、次兄は五輪3大会連続代表の惣亮。