◇パリ五輪第14日 スポーツクライミング(2024年8月9日 ルブルジェ・スポーツクライミング会場)
スポーツクライミング男子複合の決勝が行われ、現役高校生で昨季W杯年間王者の安楽宙斗(そらと、17=JSOL)が145.4点で銀メダルを獲得した。21年東京大会から五輪種目に採用されたスポーツクライミングで男子日本勢のメダル獲得は初めて。東京大会の女子複合では野中生萌が銀、野口啓代が銅メダルを獲得していた。
予選をトップ通過していた安楽は、決勝前半のボルダーも69.3点で首位に立った。だが、後半のリードではボルダーで安楽に6.2点差の3位トビー・ロバーツ(19=英国)が92.1点をマークし、合計155.2点で首位に浮上。最終8人目に登場した安楽は金メダル獲得に85.9点が必要なところ、80点のホールドを前に落下して76.1点にとどまった。
試合後の安楽との主な一問一答は以下のとおり。
――試合を振り返って
「ボルダーは3、4課題目、ゴール付近まで行ってたので決めきれなかったことと、リードは中盤のパートの動きがグチャグチャで、キャンパとか足がない中での動きが全然できずに、危なっかしいことばっかして結局落ちてしまったのが原因だと思います」
――リードで若干強引になった理由
「強引になったというかリズムを崩したというか、単純にムーブに対するタイセイがあんまりついてなかったかなと。足がないとか、ゆっくり動くのに対して、まだまだ改善の予定があるなと思います」
――体勢?耐性?
「飛ぶんじゃなくてじりじり行くような動きですね」
――疲れはボルダーから?予選から?
「少なからずもボルダーからの疲れ、僕は基本的にW杯しか今まで出てこなかったので、こんなに間短くやることはなかったんですけど。少なくともリードにボルダーの疲れは影響はしてると思いますが、それでももうちょっとリードでは改善というか、乱れたなという感じでしたね」
――あと何手で金メダルという計算は
「してないですね。分からないんで。どこまで行ったか分からないですけど、とりあえず自分の持ってるもの、リードは先走っちゃダメなので、1手ずつ着実に全部のものを出そうと思ってたんですけど、途中でリズムというか、ムーブが難しくてガタガタしてしまったのがリードで差をつけられた原因だと思います」
――落ちて金ではないと分かった?
「分からなかったですね。教えてもらって、2位のヤツに」
――悔しさが強かった?
「強かったですね。これで良い感じでやれていたらよかったんですけど、やりきれずに乱れて終わってしまって。僕が落ちた1手も、まだ取れたかもしれないのに中盤の疲れというか、メンタルの乱れも入ってて、いろいろ出し切れなかったので、単純にやっちゃったみたいな感じで悔しかったです」
――去年の世界選手権もリードで苦しい場面があった
「いや、今回は去年よりはだいぶ強くなって、静的な動きは習得できて実践はできていたんですけど、足がない動きが、手だけで体を支えることがまだできないなと分かりました、今回で」
――今後は
「W杯で優勝は多い方がいいと思うんで。リードもボルダーも、今回どっちも微妙という感じで終わってしまったので。でも出始めて1年半でとりあえずここなので、これから先、どっちも最強と言われるクラスになりたいと思います」
――ボルダーの第4課題とかリードの足場がないところとか、もっと筋力つければ
「あれは単純にヤコブ選手、アダム選手、ベテランの体の強さとか、トビー選手もそういう感じの登りなので、体の強さがだいぶ目立ったかなと」
――ボルダーも
「ボルダーは、単純に全身運動が僕は苦手ということで、もう1、2トライしたらゼーゼーいってたので、準決勝も含めてそこが明確な改善点だったのでよかったと思います」
――初の五輪で銀は満足?
「リードがダメで、でも初めての五輪で銀取れたというのはうれしいですけど、悔しさの方が強いですね」
――表彰台では笑っていた
「終わったあと2位で落ち込んでたんですけど、立ってみんながワーッて祝ってくれて、単純にそのことに対して笑顔がこぼれましたね」
――どんな夏休みになった
「僕あんま大会とか行ってないんで。言うなら、この五輪の期間、昨日とかもちょっと緊張、昨日すら緊張してて、ずっとつらい日程で、終わったみたいな感じでホッとしてます」
――今までにない緊張感
「今まで以上に考えて練習して、自信があって来たので、成功させたいというのは当たり前なんで緊張しましたね」
――大学進学は
「まだ考えてないっすね。あんまり。進路はこれから?そうですね」