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CAS裁定の東京五輪落選から3年8カ月…パリ4位の森秋彩「いろんなこと乗り越えてきた成果」

スポニチアネックス 2024年8月10日 20時51分

 ◇パリ五輪第16日 (2024年8月10日 ルブルジェ・スポーツクライミング会場)

 スポーツクライミング女子複合の決勝が行われ、五輪初出場で世界ランキング3位の森秋彩(あい、20=茨城県連盟)は135.1点で4位だった。決勝前半のボルダーで39.0点の7位と出遅れ、後半のリードで1位の96.1点と追い上げたが、メダルには12.3点及ばなかった。スポーツクライミング女子の日本は五輪競技に採用された21年東京大会で野中生萌が銀、野口啓代が銅を獲得していたが、2大会連続メダルはならなかった。”絶対女王”ヤンヤ・ガルンブレト(25=スロベニア)が168.5点で東京大会に続き2連覇を果たした。

 森は小学1年からスポーツクライミングを始め、小3で海外のユース大会を制するなど天才少女として早くから注目されてきた。ただ、19~20年には東京五輪の出場資格を巡って日本協会と国際連盟が対立。出場の可能性があった森も当事者となり、20年12月に出たスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定結果で代表落ちとなった。

 騒動に巻き込まれたことも影響し、一時は競技の楽しさを見いだせなくなった。頼ったのは、以前から慕っていた同郷で東京五輪銅の野口啓代さん。「一度、大会を欠場したいんですがどう思いますか?」。そう聞くと「やりたくなるまで休んで、また戻っておいで」と返ってきた。周りの期待、そして重圧を背負っていただけに、その言葉が胸に染みた。レジェンドの優しさに救われ、休養期間を経て表舞台に帰ってきた。

 パリに入ってからは日々を謳歌。練習に集中する一方、フリータイムの午後は母と一緒に街に繰り出した。エッフェル塔や凱旋門、モンマルトルの丘など名所を回り、ベーカリーを訪れパンを購入して公園で食べた。あまりの満喫ぶりに安井ヘッドコーチから「観光しすぎて疲れないように」と苦笑いで注意されるほど。それでも「誰よりも楽しんでいる」という姿勢で大舞台に挑んだ。

 ▼森 表彰台を逃してかなり悔しい思いが強いけど、なるべくしてなった成績なので素直に受け入れたい。(完登手前までいったリードは)かなり緊張する場面だったんですけど、リラックスできてミスすることなく出し切ることができたのでよかった。五輪という大きな舞台でここまで自分らしくノビノビ登れたのは、これまでいろんなことを乗り越えてきた成果と思う。独特の雰囲気にのまれそうな時もあったけど、最後は自分らしい登りができたので、楽しめたのかなと思います。

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