◇パリ五輪第16日 飛び込み(2024年8月10日 アクアティクスセンター)
男子高飛び込み決勝が10日に行われ、22年世界選手権銀メダルの玉井陸斗(17=JSS宝塚)が507.65点で銀メダルを獲得した。自身2度目の五輪で、日本飛び込み史上初のメダル獲得の快挙を成し遂げた。曹縁(29=中国)が547.5点で五輪2連覇を飾った。
決勝は1本目の407C(後ろ踏み切り前宙返り3回半抱え型)で88.00点をマークして2位。2本目の207B(後ろ宙返り3回半エビ型)では95.40点でトップに立った。3本目の大技109C(前宙返り4回半抱え型)は94.35点、4本目の6245D(逆立ち後ろ宙返り2回2回半ひねり)も91.80点と、準決勝より高い得点を出して2位につけた。5本目の307C(前逆宙返り3回半)は入水をミスして39.10点と3位に後退したが、最終6本目の5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりエビ型)はノースプラッシュの入水を決め、決勝全選手最高の99.00点を叩き出した。
日本の飛び込み勢は1920年アントワープ五輪に内田正練が初出場してから誰一人として表彰台にたどり着けず、最高成績は1936年ベルリン五輪の男子板飛び込み・柴原恒雄と女子高飛び込み・大沢礼子の4位。メダル獲得は105年越しの悲願だった。
玉井との主な一問一答は以下のとおり。
――メダルは
「凄い、今までにないぐらい重いっていうのと、凄い、何か写真で見てた通りだなっていう、何か憧れのものというか、僕が想像もしていないような、なんですかね、夢である、目標でもあるものだったので、凄い重みがあります」
――5本目から立て直した
「やっぱり心は揺れてるところはあったんですけど、今までやってきたことを信じて、自分はやればできるんだぞと自分に言い聞かせて、最後とりました。6本目決まった瞬間は、もう上がったら(馬淵)崇英さん大喜びで、たまにこのガッツポーズして、何か自分の中では凄い。入水した瞬間は結構オーバーなイメージだったんですけど、完成だったりとか、コーチの喜んでる姿見てよかったなっていう、ホッとした気持ちが大きいです」
――(6本目が)5255Bだったというのも
「そうですね。最後52、55だからこそ思いっきりもできたし、決めれるっていう自信があったからこそ、最後99点出せたのかなって思います」
――(馬淵)崇英コーチからどんな言葉を送られた
「思いっきりやれっていうふうにも言われて、(失敗した)307のことはあんまり触れられなかった」
――どんな会話
「よくやってくれたって、凄い泣いてくれてました」
――今、素直にどんな気持ち
「凄いうれしいです。最高です」
――日本で初
「はい、もちろん知ってるんですけど、試合中はあんまり考えないようにはしてたんですけど、やっぱりちらつく部分があったにも関わらず、その緊張した中でもこういう良い演技ができたのは凄い良い経験値になるなと思います」
――金を狙えるような位置にいての銀
「それはすごい悔しいんですけど。307は失敗してしまったんですけど、もう悔いの残らないように思いっきりやるっていうことだけ意識したので、悔いはないです」
「やっぱり苦手意識が強いっていうのは昔からそうなんですけど、それと同時にやっぱ緊張だったりとか、そのメダルが、金メダルが取れる位置にいるっていう緊張感に負けてしまったのかなっていうか、肩に力が入ってしまったなっていう印象」
――(6本目の)5255Bは以前、目をつぶってもできるぐらいのことを言っていた
「もう必殺技みたいな。僕の中ではもう相棒であり、1番点数が出せる 確実な大技だとおもいます」
――本当に目をつぶって
「ないです。さすがにないですね。はい」
――改めて日本で初めての重み
「今までいろんな記録を塗り替えてこられたんですけど、今までにないぐらい、何かうれしいんですけど、まだあんまりなんですかね。実感が湧かないというか、信じられないっていう気持ちが正直な感じ。寺内(健)さんとか、そういう姿を見てきたと思うんだけど、そういう先人の人たちに対してなんか感じる部分とか、そのへんはあります」
――五輪で中国人選手と1番を争う緊張感
「凄い楽しかったですね。僕が追う側だったっていうのもあるんですけど、やっぱり圧をかけたいっていう気持ちは凄いあるので、いい形で圧をかけれたかなって思い」
――これから先、その中国の選手に勝って世界のトップに立ちたい気持ちは
「失敗しない今回のような演技ができれば。もちろんメダルもそうですけど、中国の選手に勝てる位置に僕はいると思うので、やっぱり1位を目指せる位置にいるので、やっぱりそこは1位を目指す。目指していきたいなって思います。銅メダルとか金メダルって言うんじゃなくて、金メダルって確実に言えるようになったかなって思います」