Infoseek 楽天

やり投げ北口榛花が金!!「友達も家族もいない。凄く寂しくなる時も」5年半の“チェコ物語”パリで結実

スポニチアネックス 2024年8月11日 6時1分

 ◇パリ五輪第16日 陸上(2024年8月10日 フランス競技場)

 女子やり投げ決勝で、23年世界女王の北口榛花(JAL)が、日本女子のトラック・フィールド種目で日本初の金メダルを獲得した。

 1投目にいきなり65メートル80の今季自己ベストをマーク。ライバルが誰も北口の1投目を超えられず、自身の最終6投前に戴冠が決まった。五輪女王としてパリでのラストスローは60メートルに届かずに天を仰いだが、涙があふれた。優勝者だけが鳴らすことができる競技場の鐘を絶叫とともに鳴らし、歓喜を爆発させた。

 「うれしいだけじゃ足りない。言葉にできない。いまだにまだ、実感がわかない」

 前人未到の領域に踏み入れるためには、前例のない挑戦が必要だった。

 19年2月からやり投げ王国チェコを拠点とし、ダビド・セケラク・コーチと二人三脚で歩んできた。「(日本と)時間も違うし、ご飯も違うし、友達も家族もいないし、凄く寂しくなる時もあった」。言語の違いで何度も行き違いがあった。食文化の違いから外食中心でお腹を壊したことも数知れない。それでも、五輪でのメダル獲得には必要な時間だった。

 今でも忘れない言葉がある。21年東京五輪決勝前、セケラク・コーチから「歴史を変えられるのは自分しかいない」と言われて送り出された。「マイナーなやり投げの地位だったり、陸上の地位を上げていくために、五輪でそういうものを変えられるチャンス」と奮い立ったが、左脇腹の負傷もあり12位に終わった。

 それ以降、当時の言葉を「頭に思い浮かべてから試合に臨むようにしている」。それは2度目の大舞台も同じ。自分の人生だけでなく、日本の未来も背負って投げたビッグスローだった。

 ただ、1投目から記録を伸ばせなかったことには悔いが残っている。「夢の中では70メートル投げられていた。選手村に入ってから毎日、夢では70メートル投げていました」。来年は東京で世界選手権が開催される。

 「今日出なかった記録も、夢の中で終わっちゃったものも次はかなえれるように頑張りたい」

 インタビュアーから「東京で見せてください」と言われると、「もうちょっと前がいいです。はははは」と笑った。五輪女王のスーパースローの瞬間は近未来にきっと、訪れる。

この記事の関連ニュース