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性別騒動の女子ボクサー、リン・ユーチンが金メダル 「はじめの一歩」きっかけ、台湾史上初

スポニチアネックス 2024年8月11日 5時26分

 ◇パリ五輪第16日 ボクシング(2024年8月10日 ローランギャロス)

 ボクシング女子57キロ級決勝が行われ、性別騒動に巻き込まれた第1シードのリン・ユーチン(28=台湾)がユリア・シェレメタ(20=ポーランド)を判定5―0で破り、金メダルを獲得した。台湾はボクシング競技で男女通じて初の金メダル。今大会はバトミントン男子ダブルスに次いで2個目の金メダル獲得となった。

 まさかの初戦(2回戦)敗退を喫し、金メダルを獲得した入江聖奈さんとの対戦も実現しなかった21年東京五輪から3年。2度目の五輪はリング外での戦いも強いられた。66キロ級のイマネ・ヘリフ(25=アルジェリア)の初戦の相手が開始46秒で棄権したのを機に、性別を巡る議論が噴出。国際ボクシング協会(IBA)が主催した昨年の世界選手権の性別適性検査で不合格となったヘリフとリンが、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷の標的にされた。

 IBAを資格停止とし、代わりに五輪のボクシング競技を運営する国際オリンピック委員会(IOC)は2人が女性であると強調したが、リンは対戦相手陣営からも批判された。敗れた相手が試合直後に指で「X」の文字をつくり、XX染色体を持つ女性との対戦を暗に希望するような場面が続出。「男だ」と断言する相手コーチもいた。

 兄と一緒に日本のアニメ「はじめの一歩」を見たのを機に、母親を家庭内暴力から守ろうとしてボクシングを始めた。13年に世界女子ジュニアユース選手権で台湾に国際大会初の優勝をもたらし、世界選手権では18年にバンタム級、22年にはフェザー級で優勝。女子選手として、世界の頂点を目指して戦い続けてきた。五輪の準決勝後はパブリックビューイングを実施した台湾の人々に「金メダルを必ず持ち帰る」と約束していた。

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