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変化を恐れない日本ハム・宮西 400H達成の背景にあった“進化”とは

スポニチアネックス 2024年8月11日 7時30分

 人や、組織は変化を恐れる。現状維持を保って変化をしないことで、大きな失敗は避けられるだろう。しかし、常に変化する世の中で、現状維持では大きな成功を手にすることもできない。変化を恐れず、大きな“成功”をつかんだのが日本ハム・宮西尚生投手(39)だ。

 「直球とスライダーのスタイルで長年やってきたから。正直、そこにプライドはあったけどね。でも、自分も進化していかないと置いて行かれる感覚はすごいあった」

 今月4日のソフトバンク戦でプロ野球史上初の400ホールドを達成。今季は8年ぶりに開幕2軍スタートとなったが、6月中旬に1軍昇格後は信頼を重ねた。ここまで16試合に登板し8ホールド、防御率0・69。14試合連続無失点を記録するなど、勝ちパターン復活への一助となったのが、新球チェンジアップだった。

 宮西と言えば直球とスライダーの2球種のみで勝負するスタイルで、3度の最優秀中継ぎ投手賞を受賞するなど中継ぎとしての地位を築いた。しかし、22年にプロ入りから記録した50試合登板が14年連続でストップ。昨季も31試合の登板に終わり、何かを変える必要性を感じていた時、今春キャンプで金子2軍投手コーチから「チェンジアップ系はどう?」と提案された。

 「自分もそういう(新)球を使わないと、“さすがにキツいな”というのは思っていた」。これまでも、新球の習得に励んだことはあった。しかし先発と違い、1イニング勝負の中継ぎでは自信のない球種を選択するほどの余裕がなかった。「人の生活、チームの勝利もかかっている。それで打たれたら後悔が残るから」と、新球は封印していたという。

 ただ「金子さんの伝えてくれた感じが自分の中ですごいフィット感があった。覚えるというより、すぐその瞬間からできたという感覚」と振り返る。また、開幕2軍スタートだったことで実戦を通して新球の精度を上げることもできた。「バッターは何度も対戦している中、1個違う軌道が入るというのは慣れるのにも時間がかかるから。そういう意味でも400ホールドを達成できたのは、それ(新球)がすべてじゃないかな」と感謝した。

 「今の野球はレベルも上がってきているし、150キロをバンバン放る投手ばっかりになってきている。野球界がそうなってきて、140キロ前後の真っすぐをどう生かさなあかんか。今やトラックマンとか数値で出るから、今の野球は頭を使わないと上手くならへんし、勝てない」。金字塔を打ち立てた背景には、決意の“進化”があった。(記者コラム・清藤 駿太)

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