◇パリ五輪第16日 女子ゴルフ(2024年8月10日 ゴルフナショナル=6374ヤード、パー72)
【森口祐子の目】最終日は五輪の舞台で、国を代表して戦うことの重さを改めて感じさせられました。各選手の所作からも、極限状態で戦う気持ちが痛いほど伝わる最終日でした。
山下選手は、同組の選手が早々に崩れる中、パー、バーディーと上々の発進。メダル圏内はもちろん、金メダルも夢ではないスタートを切りました。
しかし、彼女の得意とするパー5の攻め方や精度は、五輪の最終日の厚く高い壁に阻まれ、9番ホールではダブルボギーとしてしまいました。
あれっと思ったのは3番パー5の3打目。フェアウエーからピンまで70ヤードのショットが9メートルにしか寄らなかった。
彼女も違和感を覚えたのでしょうか。けげんそうな顔でクラブフェースを見返していました。その嫌な感覚が9番のダブルボギー、16番の池ポチャにつながってしまったのかなと想像しています。
ただ、それでも耐えて最後までメダルを争うプレーをしていた彼女の精神力には感服させられました。
本人にとってはこれほど悔しい4位はないはずです。一方で収穫もたくさんあったと思います。こういう経験をすると、土壇場に追い込まれた時の気持ちの立て直し方がもう1、2段階レベルアップすると信じています。
気持ちで技術を引き出す集中力も高まり、ミスをしても平常心に戻す作業が早くなります。
松山選手も東京でメダルを逃しましたが、パリで雪辱しました。山下選手がこの悔しさを糧にさらに成長していくこと楽しみにしています。(プロゴルファー)