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【元横綱・稀勢の里コラム】夢を追う子供たちのきっかけに 部屋宿泊で現役力士らと交流

スポニチアネックス 2024年8月14日 7時2分

 パリ五輪では日本選手団が海外開催では史上最多のメダルを獲得、子供たち憧れのアスリートの活躍が底辺拡大に大きく貢献することは間違いないでしょう。相撲競技は五輪種目ではありませんが、夏休みは子供たちに有意義なイベントがめじろ押しです。5日には小学生を対象とした「わんぱく相撲」の全国大会が東京・両国国技館で行われました。

 大会に参加する全チームは大会前日に大相撲の各部屋に振り分けられ、宿泊します。短い時間ではありますが、現役力士や部屋関係者らとの交流を通じて、夢を抱き日々鍛錬を繰り返す力士の姿から、夢に向かって努力することの大切さなど子供たちに感じ取ってもらえることを目指しています。

 二所ノ関部屋には兵庫県、長崎県、石川県などから7チームの子供たちがやってきました。ちゃんこを食べて力士と触れあい、大部屋で布団を並べて寝る――。元気な子ばかりで好感も持てました。大の里は夏巡業に参加中でしたが、私と十両の白熊らがちゃんこを囲んで一緒に時間を過ごしました。白熊は「子供から好かれる力士」を目標にしている関取ですから、彼にとっても貴重な体験になったでしょう。

 実は私も3年連続で出場していたので、部屋宿泊を体験しています。元大関・旭国さんが師匠の大島部屋、元大関・朝潮さんが師匠の若松部屋、元関脇・益荒雄さんが師匠の阿武松部屋の3カ所。阿武松部屋では、師匠が2階から降りてきていただいて「明日、頑張れよ!」と声をかけてもらった。それが子供心にうれしかったですね。巡業などでは力士と触れ合うことはあっても、相撲部屋の師匠と直に話をする機会はなかなか貴重なものです。夏休みは野球がメイン、朝はラジオ体操、帰り際にバスケットボールと遊び回ってましたが、私の「夏の思い出」といったら、相撲部屋宿泊体験。これですね。

 相撲に限らずどんなスポーツでも「きっかけ作り」は大事です。相撲を本格的にやっていなかった自分が「将来、相撲取りになろう」と思ったのも、この体験があったからです。少子化が進んでいくなかで、大会は今後も継続してほしい思いは強いですし、私も微力ながら協力していきたいと思います。最近は中学入学のタイミングで相撲を辞めてしまう子が多いので、プロの世界の魅力を感じてもらって、ここから1人でも多くの子供が力士を目指してほしいと願っています。 (元横綱・稀勢の里)

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