◇第106回全国高校野球選手権大会第7日・2回戦 霞ケ浦5－4智弁和歌山（2024年8月13日 甲子園）
思わず両手を掲げて万歳だ。延長11回。タイブレーク2イニング目をしのぎ、霞ケ浦の守護神・真仲唯歩（3年）はマウンドで喜びを爆発させた。
「初めて校歌を歌えると思って。凄くうれしかった」。春夏通じて4度目の挑戦で甲子園初勝利。それも強豪・智弁和歌山を撃破した。茨城勢は和歌山勢に夏は6戦全勝だが、そんな相性は関係ない。「うちは粘り強さが武器」と言った粘りの投球が勝利を呼んだ。
先発の2年生左腕・市村才樹が90キロ前後のスローカーブを駆使して好投。8回に2者連続本塁打で3点差を追いつかれた後、真仲に出番が来た。「（相手打線は）ドアスイングなので、内外角に投げれば打たれない」。ドジャース・大谷のスイーパーをYouTubeで見て参考にしたスライダーと直球を低めに集めた。味方が無得点だったタイブレークの延長10回を無失点。11回は自らの適時内野安打などで2点を勝ち越し、その裏を1失点でしのいだ。
昨秋、三塁手から未経験の投手へ転向。度胸と制球力の良さで守護神に定着し、歴史的1勝に貢献した。「あの状況であの投球ができるなんて。凄いな。ビックリ」と高橋祐二監督。将来の夢は兄と同じ消防士という右腕の見事な火消しだった。（秋村 誠人）