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大谷どうする!? MLBが先発投手6回義務化の新ルール検討 負担軽減目的 地元メディア報道

スポニチアネックス 2024年8月17日 1時31分

 大リーグ機構(MLB)が先発投手に最低でも6回を投げることを義務づける新ルールを検討していると15日(日本時間16日)、スポーツ専門局ESPNが伝えた。100球以上、自責点4以上、負傷の場合は除くという。議論や実験を重ねて、導入には数年を要する見込みだが、実施されれば25年に投手復帰予定のドジャースの大谷翔平投手(30)への影響は必至だ。

 野球の母国は変化を恐れない。今回のテーマは、先発投手の負担軽減と、権威の復活にあるという。ESPNによるとMLB関係者は「我々は先発投手の存在感を回復し、故障のまん延を減らしたい」と狙いを説明した。

 6回以上の投球を義務づけるのに、なぜ負担が減るのか?一見矛盾した狙いに映るが、期待は投球スタイルの変化にある。近年は動作解析の進歩などにより100マイル(約161キロ)を超える速球派が急増した一方、肘肩の故障者も続出している。「6回以上を義務化することで、投手は三振だけを求めて常に全力投球はせず、長い回を投げようと打者を打たせて取る方法を探るだろうと期待している」と同局は指摘した。球速ではなく、制球や効率を重視する方向への転換を促して、ケガを減らしたいという。

 14年に先発投手の投球イニングは1試合平均5・97だったが、今季は5・25イニングに減少。3Aでは4・3イニングにまで減っている。ダイヤモンドバックスのマイク・ヘーゼンGMは「面白いね。安定して6回を投げ抜くには投球も、トレーニングも、チーム編成も変える必要がある」と同局に話した。

 大谷は昨季まで86試合に登板し、1試合平均は5・6イニング。ケガや雨天中断の影響を受けた試合を除いて、6回未満、100球未満、自責点4未満での降板は9度あった。最も多いのが1度目の手術から本格復帰1年目だった21年で5度だった。

 近年のMLBは賛否両論ある中でも「ワンポイント禁止」や、「ピッチクロック」などを導入してきた。ピッチクロックは投手の故障の元凶とも指摘されるが、試合時間の短縮には一定の成果を上げている。導入にはマイナーでのテストなどまだ時間を要するが、義務化されれば大谷の投球スタイルも変化を迫られるかもしれない。

 ≪ダブルフックDH&登録制限 先発投手権威復活を≫ESPNはその他に「ダブルフックDH」と、投手登録の人数制限を検討していると伝えた。先発投手が5回以下で降板するとDHが解除され、DHの打者は退く「ダブルフックDH」は既に米独立リーグで試験導入。投手登録は、22年に上限をベンチ入り26人中、13人(9月以降は14人)以下に定めた。いずれも先発投手の権威復興が狙いにある。

 ≪「打たせて取る」野球の面白さ復活させるべき≫私が本格的に大リーグの取材を始めた97年当時の考え方は、投手は奪三振にこだわってはいけないというものだった。コーナーを突き、早いカウントで打たせて取り、なるべく長いイニングを投げるのが良いと言われた。

 だが今は、長いイニングを投げなくていいから、一球一球力いっぱい投げて、三振を取ることを求められる。統計的に導かれた、試合に勝つための最適解で、あとはリリーフ投手の継投で、やはり三振を取りまくればいい。結果、三振か本塁打かという単純なゲームになってしまった。

 私はこの6回義務化のアイデアに賛成だ。長年ファンを楽しませた、打たせて取る野球の複雑さ、面白さ、醍醐味(だいごみ)を復活させるべきだ。球速を追い求めること自体は、純粋に進化・成長を望むことでもあり、制止はできない。ただ故障につながるのであれば、何か別の処方箋を用意して、ルール変更で対策するしかない。

(大リーグ担当・奥田秀樹通信員)

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