将棋の藤井聡太王位（22）＝王将を含む7冠＝が渡辺明九段（40）の挑戦を受ける第65期王位戦7番勝負は19日午前9時、佐賀県唐津市の旅館「洋々閣」で第4局1日目が始まった。先手は渡辺で戦型は矢倉に進んだ。
対局開始早々、渡辺の指先が意外な方向へ伸びた。飛先の歩ではなく、角道を開ける歩。これに藤井は動じる様子もなく「初手お茶」の定跡通り湯飲みを口元へ運んだ後、飛先の歩を突いた。対して渡辺は3、5手目と左銀を上がった。矢倉が確定した。
両者の対局で矢倉へ進んだのは昨年6月1日に決着した名人戦第5局以来1年2カ月ぶり。藤井が渡辺を4勝1敗で破り、初の名人位に就いた「藤井荘」（長野県高山村）での対局以来だった。
18日、同市内で行われた前夜祭。対局の担当理事として来場した藤井の師匠、杉本昌隆八段（55）は戦型予想について問われ、「相掛かりが有力」とした。
今期7番勝負では第1局の千日手指し直し局、そして第2局での戦型だった。続いて挙げたのが第3局の角換わり。「ちょっとあるかな？」と3番手に挙げたのが矢倉だった。
千日手局を含む7番勝負の過去4局、渡辺の序盤作戦が成功しているとされる。では矢倉をどう指し進めるのか？ 渡辺の秘策が注目の1日目となった。