◇米男子ゴルフツアー フェデックス・セントジュード選手権最終日（2024年8月18日 米テネシー州 TPCサウスウインド＝7243ヤード、パー70）
21年マスターズ覇者でパリ五輪銅メダリストの松山英樹（32＝LEXUS）が節目となるツアー通算10勝目を挙げて、自身が持つアジア勢の最多勝利記録を更新した。5打差の首位から出て4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算17アンダーで年間王者を争うプレーオフシリーズで初優勝を飾った。2月のジェネシス招待に続く今季2勝目で、今季ポイントランクは8位から一気に3位へ浮上。今季賞金は16億円を超えて自己最高額を更新した。
松山の優勝を、パリ五輪日本代表監督でもある丸山茂樹氏が解説した。
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最終日は少し風もあってハラハラ、ドキドキの展開になった。松山は5打差をつけてスタートしたが、プレッシャーとの闘いもあり、リードが何打あっても気持ち良くなかったはずだ。その中で12番で水を差される出来事もあった。ボールマークを直したことについて競技委員から確認を受けた。ルール上は何の問題もなかったが、選手にすれば気分が良いわけがない。そこから流れが変わった。16番パー5でスコアを伸ばせなかった時は、絶体絶命のピンチだと思った。しかし17、18番で連続バーディーを奪って逃げ切った。“英樹、強いな！！”と脱帽するしかなかった。
勝負のポイントとなった17番の8メートルのパットは、無心で打ったと言っていた。ただ、しびれる展開になって、開き直った時に体がちゃんと反応してくれるかどうかは、思い切りの良さに加え、普段の練習で培ったものがなければうまくいかない。松山にはその努力の積み重ねとメンタルの強さがあった。技術、フィジカル、メンタルの全てがそろっていることが松山の強さだと思う。
精鋭が集まるプレーオフシリーズで優勝したことは価値がある。松山は元々、出場選手数が絞られる試合に強い。戦う相手が限られると、より集中力が増すのだろう。だからパリ五輪の時もメダル争いをしてくれるだろうと期待していた。
これで年間王者の可能性も出てきた。日本人が世界最高峰の舞台で頂点を極めることができたとしたら、本当に凄いことだ。 （プロゴルファー、パリ五輪日本代表監督）