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【甲子園】関東第一・高橋“必殺”61号決勝弾 吉兆「仕事人」のテーマで東海大相模に雪辱4強

スポニチアネックス 2024年8月20日 5時3分

 ◇第106回全国高校野球選手権第12日・準々決勝 関東第一2―1東海大相模(2024年8月19日 甲子園)

 準々決勝4試合が行われ、春夏通じて甲子園優勝経験のない4校が準決勝進出を決めた。関東第一は主将で主砲の4番・高橋徹平内野手(3年)が、7回に高校通算61号となる先制ソロを放つなど2―1で東海大相模(神奈川)を撃破。15年以来9年ぶりの4強入りとなった。青森山田は滋賀学園を1―0で下し、春夏通じ初のベスト4。休養日を挟み、21日に準決勝が行われる。

 トランペットの音色が耳に届いた。「必殺仕事人」のテーマ。「あっ流れたな、と。何かあるな」。0―0の7回先頭、打席に立った4番・高橋には予感があった。東東京大会5回戦。成立学園戦で2戦連発した時も流れたメロディーだった。

 1メートル98のプロ注目左腕・藤田琉生(3年)の初球130キロのチェンジアップに、体が反応した。迷いないスイングで捉えた打球は鮮やかな弧を描いて左翼席へ。「何も覚えていない。打った瞬間“入ったな”と。それだけです」。無我夢中のダイヤモンド一周。一塁ベンチの仲間に向け、自然にガッツポーズが出た。4回の第2打席まで今大会は9打数2安打で長打なし。4番の仕事ができなかったが、均衡を破る千金の決勝弾だった。直前の6回無死一塁の三塁の守備では、三塁前のバントを素早く処理して併殺に取る超美技。「守り合いには自信がある。ダブルプレーが取れたからホームランにつながった」と振り返った。

 高校通算61号。打者に専念しなければなかった数字だ。小6の時に最速128キロをマーク。投手として有望視されたが、高校入学後に右肘を故障した。自覚はなかったが、米沢貴光監督に「見せてみろ」と言われ、右肘が曲がっていることに気がついた。投手継続には必要だった内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)は受けず、打者専念を選択。アルプス席で見守った父・良輔さん(54)は「凄く優しい子で闘争心がない。投手は向かないと思っていたのでよかった」と笑う。小学生のとき、5歳下の弟と7歳下の妹のおしめを替えていたような心優しき主将が、攻守で引っ張った。

 オコエ(巨人)らを擁した15年の準決勝で敗れた東海大相模に雪辱し、9年ぶりの4強入り。「今まで自分以外の力で勝ってきたので、自分の力で勝たせたいと。みんな打てないときに打つのが4番」。息を吹き返した4番が、初めての頂点へ勢いをもたらした。 (秋村 誠人)

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