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ソフトバンクのファームで行われている“アイピッチ検定”とは? 期待される効果と可能性

スポニチアネックス 2024年8月21日 8時1分

 ソフトバンクのファーム本拠地・タマスタ筑後で、最新鋭ピッチングマシン「アイピッチ」を使用した検定テストが行われている。

 「アイピッチ」とは高性能弾道測定器「トラックマン」のデータなどを入力することで、実在の投手の球質を再現することができる打撃マシン。NPB球団でも広く利用されるようになってきている。

 真っ先に取り入れた球団でもあるソフトバンクではレベル1~16までの難易度が設定された「打撃検定」に挑戦することができる。現状、最上位の「レベル16」は、150キロの直球、カーブ、カットボール、スライダー、フォーク、チェンジアップ、シュートをミックスで投げてくる“スーパー投手”から10打数3安打以上をマークすることが合格条件になるという。

 レベル1からクリアしていく必要があり、レベル上位が相手になってくると攻略は困難を極める。キレ味抜群の変化球をコーナーに投げ込んでくる上に、マシンのため投球動作がなくタイミングも取りづらい。人間が相手の打撃とは異なる点もある。そのため中には「自分のスイングができない」「自分のタイミングで打てない」と消極的な声があるのも事実だ。

 ただ、ファーム首脳陣は共通認識として効果を実感してきているという。例えば若手に挑戦を推進している斉藤和巳4軍監督も「打ちにくいだろうなと思うけど、打者は(人間の投手が相手でも)タイミングをどう計るかというところだから。対応しようと何度もやってたら対応能力は間違いなく上がる」と話す。

 1軍のトップクラスとの対戦となれば、なかなか自分の気持ちいい打撃はさせてもらえない。ハイレベルな球を投げてきて、かつタイミングが取りにくいマシンからどう打つかに取り組むことは、対応力や見極める目を鍛えることにつながっていくというわけだ。

 

 現在、着々とクリアを積み重ねていき、何度もトライしてレベル16を攻略した石塚綜一郎捕手(23)が1軍に昇格中。アイピッチを積極活用して育成5年目にして今年7月に支配下昇格を勝ち取った。ここまでヒットは出てないが、その打席に注目も集まる。

 タマスタ筑後では「アイピッチ」に続き、より緻密な軌道も再現し、投手の投球映像を流して連動させることができる「トラジェクトアーク」も本格的な使用開始に向けて進んでいる。

 現在、パ・リーグで打率3割を超えているのは近藤健介のみ。テクノロジーの恩恵を受けた投手の進化に対して、受け身である打者が追いつけていないことも指摘されているが、このようなマシンの“有効活用”が現状打破のカギとなるか。(記者コラム・木下 大一)

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