◇「虎に翼」山田よね役・土居志央梨インタビュー（2）
女優の土居志央梨（32）がNHK連続テレビ小説「虎に翼」（月～土曜前8・00、土曜は1週間振り返り）に第2週からレギュラー出演。主人公・佐田寅子（伊藤沙莉）の盟友・山田よね役を好演し、人気キャラクターの1人に育て上げた。序盤は男装が話題を集め、第97回（8月13日）で悲願の弁護士資格を取得。土居に撮影の舞台裏を聞いた。
＜※以下、ネタバレ有＞
向田邦子賞に輝いたNHKよるドラ「恋せぬふたり」などの吉田恵里香氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・佐田寅子（ともこ）の人生を描く。吉田氏は初の朝ドラ脚本。伊藤は2017年度前期「ひよっこ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となる。
土居の朝ドラ出演は、20年度後期「おちょやん」以来3年半ぶり2回目。今回演じるよねは、寅子と同期の明律大学女子部2期生。貧しい農家に生まれ、姉が置屋に売られるなど苛烈な過去を持ち「今の私のまま、舐め腐った奴らを叩きのめすことができる力が欲しい」と猛勉強し、女子部に進んだ。
己を貫く性格ゆえ、高等試験に連敗。先に弁護士になった寅子が勤める雲野法律事務所を手伝うが、寅子の妊娠・辞職を機に袂を分かつ。戦後、復員した轟太一（戸塚純貴）と運命的な再会を果たし、一緒に法律事務所を開設。戦災孤児らに手を差し伸べた。裁判官になった寅子とは6年ぶりの再会を果たした（第56回、6月17日）。
土居も当初から「よねには弁護士になってほしい」と語っていたが、新潟地家裁三条支部へ異動した寅子が3年の任期を終え、1955年（昭和30年）、東京に戻ると、よねは1937年（昭和12年）の高等試験初挑戦（第26回、5月6日）から18年、ついに夢を実現。「最初に台本を読んだ時も、もちろんうれしかったんですけど、第20週から衣装が新しくなるということで、衣装合わせで弁護士バッジを着けてもらった時が一番グッときました。十数年越しの念願ですから、泣きそうになるぐらい、こんな気持ちになるんだというぐらいうれしくて。私とよねの感慨が凄くリンクしました」と明かした。
名刺には「山田轟法律事務所 弁護士 山田よね」。どちらの名前を先にするかを決めるじゃんけん対決も、SNS上で反響を呼んだ。グー、チョキと2回あいこの後、よねがパーで勝ち「よしっ！」と叫んだ。
よねの勝利は台本で決まっていたものの、第20週担当のチーフ演出・梛川（なぎかわ）善郎監督のアイデアにより“ガチじゃんけん”を行うことに。「私が勝つまでお互い本気で、ということになったんですけど、純貴くんばかりが勝ってしまって（笑）。たぶん7回戦ぐらいしたと思います。2人とも超白熱しました（笑）」と裏話を披露した。
轟の存在については「一言で言えば、相棒。カッコ悪い部分を見せられる唯一の相手だと思います。トラちゃんにも見せないように振る舞っていますよね。戦後、よねから“一緒にやらないか、弁護士事務所”と誘って、轟を失意から救った形になりましたけど、よねも轟に救われました。あの時、再会できて、本当によかったと思います」と感謝した。
第105回（8月23日）は寅子と星航一（岡田将生）の再婚を裁判風に祝いつつ、明律大学の同窓会に。
「久保田先輩（小林涼子）と中山先輩（安藤輪子）も含めた、女子部みんなが揃った撮影は本当に久しぶりで。ストーリーの展開上、数カ月お会いしていない方もいましたので、ただただ懐かしく、うれしく、同窓会の収録を楽しみました。でも、よねだけは台本に『乾杯しない』と書かれていて。再会の喜びを分かち合いたいのを、必死に抑えながら演じました（笑）。女子部から始まったみんなの物語がいったんまとまって、ここまでよくぞ生きてきたね、とお互いの人生をねぎらう、祝福と再スタートのシーンになったと思います。男子学生が轟しかいないのは寂しかったですけど、轟も花岡（岩田剛典）との別れを乗り越え、彼の志も背負ってきたんだな、という感傷に浸りつつ、よねもみんなに負けられない、という思いに駆られました」
よねは雲野六郎（塚地武雅）からの依頼を即決し「原爆裁判」を手伝うことに。結審はまだ先だが、弁護士・よねのさらなる奮闘が注目される。
＝インタビュー（3）に続く＝