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阪神・湯浅 今季中の復帰は絶望的 「また元気に投げる姿を見て頂けるよう頑張ります」手術終え退院

スポニチアネックス 2024年8月26日 5時17分

 阪神は、湯浅京己投手(25)が福島県内の病院で「胸椎黄色じん帯骨化切除術」を無事に終え、25日に退院したと発表した。27日から鳴尾浜球場でリハビリを開始する予定で、今季中の復帰は絶望的となった。「黄色じん帯骨化症」は国指定の難病。キャリア最大の壁にぶつかることになった若き豪腕は、この難局を乗り越えてもう一度、甲子園のマウンドで腕を振ることを目指す。

 虎の未来を描くのには欠かせない男が、大きな試練に直面した。この日、球団は福島県内で湯浅が「胸椎黄色じん帯骨化切除術」を終えて退院したと発表。湯浅は、球団を通じて出したコメントに率直な思いを乗せた。

 「今年に入って体に強い違和感を感じるようになり、悩んだ結果、手術することを決断しました。シーズン中にもかかわらず自分の決断に理解を示し、後押ししてくださった監督をはじめ球団関係者の方々や手術に至るまで、そして術後もずっと寄り添ってくださっている先生方とトレーナーさんには、心から感謝しています」

 湯浅は、プロ4年目の22年に自己最多の59試合に登板し、45ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得するなど飛躍した。昨年はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に選出され世界一も経験。同年シーズンは度重なる故障で15試合の登板にとどまったが、日本シリーズで電撃復帰して第4戦で「湯浅の1球」と称される好救援で日本一への流れを呼んだ。

 だが、6年目の今季は1軍スタートだった春季キャンプの終盤に2軍降格。開幕も2軍で迎えてここまで1軍登板はなく、2軍では7月10日のウエスタン・リーグのくふうハヤテ戦が最後のマウンドだった。

 国指定の難病である「黄色じん帯骨化症」は、球界でも投手に発症例が複数あり、近年では中日・福、ロッテ・岩下が手術を経て1軍復帰登板を果たしている。湯浅はあす27日から鳴尾浜球場でリハビリを開始。当面は別メニュー調整となるものの、来春キャンプでの全体練習合流を目指すことになりそうだ。

 球団の発表後、湯浅は自身のインスタグラムを更新。「今日から新たな気持ちで、また元気に投げる姿を見て頂けるよう、リハビリ頑張ります!必ず甲子園のマウンドに戻ります!」と決意をつづった。不屈の精神で聖地に舞い戻ってみせる。(遠藤 礼)

 ◇湯浅 京己(ゆあさ・あつき)1999年(平11)7月17日生まれ、三重県出身の25歳。聖光学院、BC(現日本海)リーグの富山を経て18年ドラフト6位で阪神入団。21年6月3日のオリックス戦でプロ初登板。22年は開幕1軍入りし、59試合に登板。45ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。昨年3月のWBCでは侍ジャパンの一員として14年ぶりの世界一に貢献。今季は1軍登板なし。1メートル83、82キロ。右投げ右打ち。

 ▼整形外科河村医院(大阪市港区)宮崎義雄医師 膝などと同じように一つ一つの背骨もじん帯でつながっており、その一つが黄色じん帯です。通常は柔らかいじん帯が突然骨になって(骨化)、硬くなるのがこの病気です。骨化が大きくなるとその場所で神経が圧迫され、足のしびれ、腰の痛み、歩行時の下肢の痛みや違和感など、圧迫された神経の症状が出ます。手術は骨化して神経を圧迫している部分を除去するもので、一般的には日常生活に戻るのにはさほど時間はかかりません。湯浅投手の手術前の状態にもよりますが、神経の圧迫がなくなれば、痛みや違和感は消失し、術後リハビリメニューにしっかり取り組めば、投球再開が難しいというものではないと思います。(プロ野球トレーナーOB協会、日本スポーツ整形外科学会所属)

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