将棋の藤井聡太王位(22)=王将を含む7冠=に渡辺明九段(40)が挑む第65期王位戦7番勝負は27日、神戸市の有馬温泉「中の坊瑞苑」で第5局が始まり午前12時半、昼食休憩に入った。先手は藤井で、戦型は雁木(がんぎ)へ進んだ。
1日目午前から両者が驚きの応酬を見せた。角交換後の30手目、渡辺が香取りに角を打った。藤井はこの角取りを受けず、銀を渡辺銀めがけて突進させた。
すでに26手目で前例から離れていたのに、考慮時間わずか6分。研究済みの指し手であることは明らかで、両者の周到な準備をうかがわせる。さらに渡辺は36手目、手駒の銀を8筋の藤井の歩の前へ打ち、力尽くで飛先の突破を図る。銀捨ての強手に、盤上は台風10号の通過前から嵐のような激しさになっている。
昼食休憩前までの消費時間は持ち時間8時間から藤井が51分、渡辺は2時間18分。昼食は藤井が神戸牛と淡路産玉葱の丼ぶり膳、渡辺は国産うな重膳。