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NHK、ラジオ国際放送で「AI音声」導入へ 中国籍スタッフの問題発言を受け事前収録に切り替え発表

スポニチアネックス 2024年8月30日 13時2分

 NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフが沖縄県・尖閣諸島は「中国の領土」と原稿にない発言をした問題を巡り、NHK広報局は公式サイトを通じ、改めて経緯を説明。再発防止策として、中国語をはじめとした各言語のラジオ国際放送を「事前収録」に切り替えたほか、「早期にAI音声の導入を検討する」と発表した。

 NHKは19日放送の中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島について「中国の領土」などと、原稿にない「不適切な発言」を行った。同局は外部スタッフと業務委託契約を結んでいる関連団体を通じて本人に厳重に抗議するとともに、関連団体は本人との契約を解除する方針であると伝えた。

 この日、改めて中国籍の外部スタッフの発言について「日本政府の公式見解とは異なる発言」とし、「今回の事案は、NHK国際番組基準に抵触する等、NHKが、放送法で定められた担うべき責務を適切に果たせなかったという極めて深刻な事態であり、重く受け止めています。深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

 スタッフは21日付で契約を解除し、今後は損害賠償請求を行うとともに、刑事告訴の検討を含め厳正に対処する。また、「26日には副会長をトップとする検討体制を設置しました」と報告し「今後、可能な限りの原因究明を行い、関係する役職員の責任を厳しく問います」と呼びかけた。

 中国籍の外部スタッフについては、「NHKの関連団体と業務委託契約を結び、主な業務はニュース原稿の中国語への翻訳と、その原稿をラジオニュースで中国語で読み上げることでした。2002年(平成14年)からNHKの業務を行っていました」と説明し、現在は「代理人を通じて対応するなどと話し、現段階で、動機や意図については十分判明していないと考えています」と指摘。さらに「この外部スタッフとみられる人物が香港の中国系メディアに過去に出演していたことを確認しましたが、今回の事案発覚までに、把握できていませんでした。外部スタッフはニュースの取材制作の専用端末にアクセスする権限はなく、NHKの取材情報など非公開情報が流出したことはないと考えています」と明かした。

 今回の件を受け、「ラジオ国際放送の中国語ニュースについては、20日から事前に収録して放送しています。さらに、スワヒリ語や朝鮮語など7言語も事前収録に切り替え、29日までに英語をのぞく全ての言語を事前収録とします」と、従来の生放送から事前収録に切り替えたことを報告。さらに、「中国語を含め可能な言語から、必要に応じて、早期にAI音声の導入を検討します」と再発防止策を発表した。

 26日には井上副会長をトップとする検討体制を設置。「今後、可能な限りの原因究明を行い、関係する役職員の責任を厳しく問います」とし「今回の事案は、NHK全体として安全保障の観点への意識が欠けていたことも原因であると考えています。短期的な対応だけでなく、管理体制の強化等、中期的な再発防止策を策定し、国際放送に関するガバナンスの強化を行い、信頼回復に努めて参ります」と呼びかけた。

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