◇セ・リーグ 広島5ー1ヤクルト(2024年9月1日 マツダ)
広島・矢野雅哉内野手(25)が1日のヤクルト戦で球団通算8888号を殊勲のランニング本塁打で飾った。2点優勢の6回2死二、三塁から前進守備だった中堅頭上を越した一打に快足を飛ばして2試合連続の2号3ラン。玉村昇悟投手(23)はプロ初完封を逃しても8回0/3、1失点で自己最多に並ぶ4勝目を挙げた。本拠地でのヤクルト戦は開幕9戦9勝。2連勝で今季最多タイの貯金14に戻し、首位の座をがっちり守った。
広島・矢野が全力でダイヤモンドを駆け抜けた。2―0の6回2死二、三塁。追い込まれてからロドリゲスの152キロを捉え、前進守備の中堅後方へ。背走した増田のグラブをかすめて転がる間に一気に本塁まで走り、最後は頭から飛び込んだ。野球人生で初体験のランニング本塁打。それも勝利を決定づける3ランだ。
「二塁を回った時にホームまでいけるかなと思った。結構しんどかった。それしかなかった」
前夜は右翼ポールに当てた2年ぶりの1号。初の2戦連発を今季両リーグでは初めて、球団では13年の丸以来、11年ぶりのランニング本塁打で決めた。末広がり「八並び」の球団通算8888号。「ああいう場面で打って、チームに流れを持っていけているのが一番かなと思う」と胸を張った。
超人的な守備力で遊撃のレギュラーをつかんだ4年目。打撃を課題として自覚し、本拠地戦では早出練習が日課だ。「その日その日で体の調子が違う。“今日はここが違うな”と思ったら、その(全体)練習で“どういう感じで打とうか”と確認しながらやっている」。前夜の本塁打で「振りが大きくならないように」と心配していた新井監督も見守った。「言葉はかけなかった。昨日の本塁打で“雰囲気を出して”打撃していたので、ちょっと近寄りがたいオーラがあった」と冗談めかしつつ、「本当にコンパクトに。状況が冷静に頭に入っていた」と称えた。
現役時代の05年に6666号。今季躍進の象徴でもある矢野の連夜の活躍を「2試合連発ですからね。エンターテイナーだなと。チームのムードメーカーでもあるし、何か持っています」と大喜びした。ヤクルトにはマツダスタジアムで開幕9戦9勝。今季最多に並ぶ貯金14に戻し、首位も守った。「相手はコントロールできないので、一戦一戦うちらしい全員野球で戦っていきたい」。勝負の9月に加速しそうな2連勝だ。(長谷川 凡記)