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23歳右腕の韓国でのドラマチックな「1クール」が終了 NPBでの「続編」を目指す

スポニチアネックス 2024年9月3日 11時1分

 【室井昌也コラム 月に2回は韓情移入】ドラマチックな3カ月だった。

 韓国KBOリーグに今季導入された「代替外国人選手制度」で韓国球界入りした白川恵翔のことだ。

 同制度は故障者リスト入りした外国人選手の不在を補うための期限付き移籍。白川は四国アイランドリーグplus・徳島での投球が韓国のプロスカウトの目に留まり、5月下旬にSSGランダーズ入りした。

 白川は6月1日に初登板初先発すると5回無失点で勝利投手に。初めて踏む海外の地、徳島以外で暮らしたことがない23歳の純朴な青年が不慣れな環境で奮闘する姿に、現地の野球ファンの注目を一身に集めた。

 6週間の契約期限が近づくと別れを惜しむ声が向けられた白川。7月4日にSSGとの契約が終了した。

 しかし、「白川主演」の韓国ドラマはそこで終わりではなかった。SSG同様に外国人投手が故障離脱した斗山(トゥサン)ベアーズが白川にオファー。KBO2球団目での生活が始まった。

 斗山でも6週間プレーした後、15日間の契約延長が決定。9月4日が最終期限となった。だが8月23日の登板後に、右ひじのコンディション不良が明らかに。3カ月間のストーリーはエンディングを迎えた。

 白川のKBOでの成績は12試合に先発登板し4勝5敗、防御率5・65。登板時の関心は高く、「観客1万5000人以下だと好投するが満員だと崩れる。大観衆慣れしていない独立リーグ出身だから」といった考察がメディアやファンの間で広まる程、成績以上に注目された。

 8月16日のKTウィズ戦は8回102球無失点で勝利投手に。現地記事にはキャリア最高のピッチングを表す「人生投」の文字が躍った。四球による自滅はなくストライクを先行させ、2回途中から5回にかけて打者12人を続けて抑えるなど好投した。

 その日の登板は白川にとって大きなものとなった。「KBOで8回まで投げられたことは新たな収穫で、NPBを目指す上でも自信になりました。KBOでは色んなことを学んで経験していて、徳島にいた時と違って変化球も自信を持って投げられるようになりました」

 白川はSSGを離れる時、初勝利ゲームのラインアップカードをプレゼントされた。そこにはSSGナインの直筆メッセージが寄せ書きされた。

 「NPBに必ず行け!応援しているぞ」(エースの金広鉉)、「NPBで先発1番手になれ」(主砲の崔廷)、「Gambatte!」(元広島のドリュー・アンダーソン)。

 白川は日本帰国後に肘の再検査を受け、9月中の復帰を目指している。その先に見据えるのはNPB球団からのドラフト指名だ。トッププロを舞台とした続編なるか。

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