第72期王座戦5番勝負で藤井聡太王座（22）＝王将含む7冠＝に挑む永瀬拓矢九段（31）が3日、第1局が行われる神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で前日会見に臨んだ。
永世称号「名誉王座」を懸けて臨み、藤井に王座を奪われてから1年。再び両者が激突することとなり、永瀬はリベンジに燃えている。「早いもので一年あっという間。そこから記憶がない時間もありますが、明日から藤井さんと一生懸命戦う。止まった時間ではないですが、自分を前に進めるために向き合っていきたい」と力を込めた。
昨期を通じ「足りていない部分があった」と感じた精神面。「藤井さんに勝たないとタイトル獲得できない」。そう思っていた自身の心を「私の未熟さでした」と振り返る。少し、気負いもあったのかもしれない。「本番は練習、練習は本番のように、という基本的なことができてなかった」。そのことに気がついたのは、普段から練習対局を指している藤井の存在もある。「一緒にいる時間はかなり長い。藤井王座の背中を見て、姿勢や考えを自分なりに咀嚼し、自分と向き合ってきた」と語った。
1年分、より強くなった精神力を携えてひのき舞台に帰ってきた。「精神面が向上して、技術も含めて全体的な能力が上がった気がする。普段の自分のパフォーマンスを発揮することが、普段の練習を裏切らないことにあると思います」と真っすぐに前を見つめた。