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西武の愛され“岡ちゃん”が引退試合を前に漏らした本音 今も変わらない弟分との絆

スポニチアネックス 2024年9月6日 8時1分

 今年もまた一人、ファンに愛された選手がユニホームを脱ぐ。3日に西武で長らくバッテリー組の精神的支柱としてチームを支えた岡田雅利捕手(35)が今季限りでの現役引退を発表した。

 「困ったときの岡田」を自称するスーパーサブ。最多出場は17年の68試合、通算出場も325試合にとどまったが、堅実な守備にピンチバンター、ベンチではムードメーカーもこなす。若手の良き相談役も務め、有形無形の力で18、19年のパ・リーグ連覇に欠かせない存在だった。母校の6学年後輩で同期入団の森友哉(現オリックス)とは練習中に兄弟のようにじゃれ合う一方、自らの立場もいとわず、献身的にリード面の相談に乗り、正捕手に育っていく過程の森をサポートするなど、深い絆を感じた。

 逆転でのリーグ連覇を狙っていた19年。2試合連続で逆転負けを喫した8月2日のオリックス戦(京セラドーム)後、岡田はバッテリーミーティングで「思ったことがあったら言い合おう。投手で勝つ試合を作って信頼してもらおう」と声を張り上げた。だが2日後、同戦でクロスプレーの際に負傷。「関節鏡視下左膝半月板縫合術」などを受け、同年中の復帰が絶望的となった。

 故障離脱後も電話で密に連絡を取り合っていた2人。それでもリハビリ中の岡田の様子を見に行くと「森は元気ですか?」と常に弟分のことを気にかけていた。同年9月12日のソフトバンク戦。岡田が観戦に来ることを知った森は「来るって言ってたんで」と第1打席で、岡田の登場曲『それが大事』(大事MANブラザーズバンド)をサプライズで使用。粋な計らいを受けた岡田は「泣きそうだった。危なかった…」。約2週間後、逆転でのリーグ連覇を決め、ビールまみれの二人が歓喜の抱擁を交わした姿が忘れられない。

 引退試合は14日にベルーナドームで行われるロッテ戦に決まった。観客動員の見込まれる土曜日の開催だ。「僕ぐらいの選手が引退試合をやってもらえるなんて、本当にありがたいことです」と謙虚に話した「岡ちゃん」は、少しだけ本音も漏らした。「最後に森の前でやりたかったですね」と。(記者コラム・花里 雄太)

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