西武、ロッテの監督を歴任した伊東勤氏(62)が自身のYouTube「110チャンネル【伊東勤】」を更新。プロ野球では避けて通れない戦力外通告で経験した辛い思い出を明かした。
現役時代は進退を自分で決められる立場だった伊東氏だが、指導者になると違った立場で「戦力外通告」の厳しさに直面する。
来季のチーム編成が動き出す秋になると球団から戦力外通告“候補”の名簿が回ってくるという。
伊東氏が「これまで経験して一番辛かった…」と振り返る選手がいた。
球団の戦力外通告リストに入っていたその選手は、通達日に1軍の試合に出場していた。
その試合でも結果は出なかったが、試合後には「明日があると信じて」室内練習場で打ち込みをしていた。
伊東氏はその姿を見ていたたまれなくなったという。
夫人が妊娠中であることも知っていた伊東氏は、家に帰って家族の前で球団からの「戦力外通告」の電話を受けたらショックだろうと思った。
本来は球団フロントの仕事だったが、伊東氏は練習中のその選手に「余計なことかもしれないけど、奥さんもいるところで家に電話が来たら辛いだろうから…」と、自分で落ち着いて家族に伝えられるようにと事実を告げた。
その選手はショックを受け、涙を流したが「言ってもらってよかったです」と答えた。
伊東氏は「そのときは本当に辛かった」と振り返った。
その選手は社会人野球に転向して今も現役を続けている。伊東氏は「野球がこんなに楽しいとは思わなかった」と話しているのを聞いて救われたと明かした。