◇大相撲秋場所2日目(2024年9月9日 両国国技館)
玉鷲が青葉城さんの記録に並びました。誰もまねできない胸を張れる偉業です。入門から愚直に押しに徹してケガをしない相撲を取ってきました。どうしても下がったり引いたりするとケガをする可能性が高まりますが、玉鷲は常に前に出る意識もあるから長続きできています。
自分の形さえつくれれば対処が可能となる四つ相撲に比べて、押し相撲は押す力が衰えると思うような相撲が取れなくなるリスクがあります。玉鷲がこの年齢まで幕内を維持できるのは立派のひとこと。加えて若手以上に若々しい相撲が目立っているので精神的な強さもうかがえます。ベテランになると考えすぎてリズムを崩してしまう傾向にありますが、負けても翌日は頑張るぞと切り替えて土俵に上がるすがすがしさを備えているのも彼の良さです。
11月に40歳を迎える力士とは思えない体の張り。敗れはしたものの若々しく負けた佐田の海戦のような相撲を取れれば、記録更新は続きそうです。(元横綱・稀勢の里)