◇プロボクシング フェニックスバトル121＆DANGAN268（2024年9月10日 東京・後楽園ホール）
メインイベントのスーパーフライ級8回戦で、同級5位の吉田京太郎（27＝ワタナベ）が同級4位の今川未徠（28＝JB SPORTS）に8回1分24秒TKOで勝利し、2戦連続のKO勝利を飾った。
吉田は長いリーチを生かしながら、右のフックやカウンターで好機をうかがった。終盤にペースを上げると8回にロープ際で連打を浴びせ、一方的な展開となったところでレフェリーが試合をストップした。日本ランカー対決を制した吉田は「もうちょっと早くストップできたと思った。自分が詰め切れず最後までいってしまったが、いい流れでできていることは感じていた。カウンターの右は練習してきたその右を出せたのはよかった」と2戦連続のKO勝利に笑みを浮かべた。
この試合に向けて左構え対策として、同門の谷口将隆や重岡兄弟らと「自分の試合に向けたスパーリングがいつから始まったか分からないくらい」のラウンド数を重ね調整。この日は5回に有効打で右目上を負傷も最後まで意地を見せ「相手の腹へのパンチも効いていたと思うが気持ちが強かった。自分も必死だった」と汗を拭った。
近大出身の吉田は、プロ入りを目指し卒業後の20年に上京。三迫や角海老宝石ジム入りも検討していた中、五反田駅周辺の中華料理店「東海酒屋」でワタナベジム渡辺均会長からスカウトされた。「渡辺会長が一番熱く誘ってくださった」と会長の熱意に負け、同ジムへの入門を決断。餃子を振る舞うなど、ラブコールを送った渡辺会長も「よく頑張った。僕にもスカウトした責任があるから。ホッとした」と愛弟子の勝利に安堵（あんど）の表情を浮かべた。
同階級の王者は同門の高山涼深（27）で、来月以降に行われる予定の最強挑戦者決定戦では同級1位の重里侃太朗（28＝志成）と同級2位の山口仁也（24＝三迫）が対決する。いずれは日本王座を狙う姿勢を見せた吉田は「次、練習で高山さんに会った時に返上してもらうように言っておきます」と話し周囲を笑わせていた。
セミファイナルのウエルター級8回戦では、2戦連続TKO勝利中の野上昂生（23＝ワタナベ）がWBOアジア・パシフィック（AP）同級7位アドール・トーレス（29＝フィリピン）を3―0判定で下し3連勝を飾った。
WBO－APランカー相手に何度も強打を浴びせた。1回終了直前にカウンターの右フックを相手の顔面に見舞い、2回以降は上下にパンチを散らし、圧倒。6回には右フックを被弾する場面も見られ終盤はやや動きが鈍くなったが、ジャッジ2人が80―72、残る1人も79―73の“準フルマーク”で完勝した。