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【内田雅也の追球】難敵攻略の小技と積極打

スポニチアネックス 2024年9月11日 8時3分

 ◇セ・リーグ 阪神7―2DeNA(2024年9月10日 甲子園)

 難敵のDeNA・東克樹を攻略したのは小技と積極的な打撃だった。

 4回裏の同点は投手・青柳晃洋のセーフティースクイズだった。1死一、三塁での初球、投手右に転がし、三塁走者・井上広大がタッチをかいくぐった。一、三塁では常道の作戦だが、今季は失敗が目立っていた。

 5回裏の勝ち越し3点目は森下翔太のソロだった。今季、全22試合でクオリティースタート(QS=先発6回以上、自責点3以下)の東KOには次の1点が山だった。

 問題の6回裏、光ったのは連続のバスターである。無死一塁、木浪聖也はバントを続けてファウルして追い込まれた後、バスターで右前に落とした。無死一、二塁から途中出場の島田海吏が初球バント見送り(ボール)の後、バスターで三遊間を抜いた。相手陣形を見て、三遊間を狙い打った一撃だと言う。

 試合前のフリー打撃を見ていると、木浪も島田もただ自由に打っているわけではない。苦しそうに振ってファウルになったり、ボテボテになったりしている。自身で状況を想定してゴロ打ちや2ストライク後の打撃をしている打ち方に見える。普段の練習が成果となって出たわけである。

 近本光司右前打でついに4点目。岡田が「4点で代わると思っていた」と降板に追い込んだ。

 もう一つ、攻略のカギは積極的な打撃だろう。

 東の今季、ストライク(S)カウント別投手成績をみると(9日現在)

 ▽0S 119打数46安打 被打率・387

 ▽1S 168打数44安打 被打率・262

 ▽2S 301打数46安打 被打率・153

 東の通算被打率・231を思えば0S時の成績が突出して悪い。「第1Sを叩け」である。

 これを実践したのが梅野隆太郎である。2回裏2死三塁で初球を左中間に先制二塁打した。しかも「狙い球を絞って初球からスイングすることができました」と語っている。東得意のチェンジアップを待っていたとは、捕手らしい読みだった。

 梅野は6回裏先頭でも初球を投手強襲安打してKOへの足場を作っている。この回、島田のバスター、近本の適時打も第1Sを打っていた。東に対した28人のうち、第1Sをスイングしたのは半分の14人にのぼった。

 「ここまで来たらどんな投手かなんて関係ないよ」と監督・岡田彰布は言った。「勝つだけよ」である。 =敬称略= (編集委員)

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