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広島ドラ1・常広 チームの窮地救った!プロ初登板初先発で初勝利「お客さんの声で頑張ろうとなった」

スポニチアネックス 2024年9月16日 5時48分

 ◇セ・リーグ 広島10―2DeNA(2024年9月15日 マツダ)

 鯉に“孝行息子”誕生だ。広島のドラフト1位・常広羽也斗投手(22)が15日、DeNA戦(マツダ)でプロ初登板初先発し、5回7安打1失点で初勝利を手にした。球団新人の初登板初勝利は17年加藤(現姓矢崎)以来、7年ぶり13人目となった。打線も14安打10得点をマークし、投打の歯車がかみ合ったチームは連敗を6でストップした。

 本拠地を埋め尽くした鯉党の大声援が、常広に力を与えた。初登板初勝利の背番号17。充実感を漂わせつつ5回92球を振り返った。

 「2ボールのときとかに、お客さんの声が聞こえて、そこからまた頑張ろうとなった。最初は緊張したが、ファームでやっていたことが出せたので良かった。まだ球が荒れる場面もあるが、それも含めて自分らしい投球ができた」

 初回2死、打者・佐野への5球目のファウルで、この日最速153キロを計測。その佐野に中前打を打たれ、オースティンにも不運な二塁打を許したが、2死二、三塁から宮崎を137キロフォークで見逃し三振に仕留めて立ち上がった。5―0の3回は1死二、三塁から宮崎の三ゴロの間に1失点。それでも崩れることはない。4、5回は要所を締め、7安打1失点と粘った。

 「(両親の前で)いい投球を見せられて良かった」

 小学3年から約10年間続けた“壁当て”が原点だ。父・竜也さんが「一人でも練習ができるように」と自宅玄関横に設置してくれたコンクリート壁に向かって毎日、日が暮れるまで白球をぶつけた。今も壁にはくっきりとボールの跡が残る。最速155キロ直球は、たゆまぬ努力の産物だ。

 そして、この日は壁を乗り越えてたどり着いた1軍マウンドだった。春季キャンプ後はコンディション不良などもあり、リハビリ組の3軍調整となった。その期間に体づくりと並行して、カットボール習得に挑戦。「一つ球種が多くなって打者も打ちづらいところもある」。7月まで直球、フォーク、カーブ主体の投球で2軍戦7試合0勝5敗、防御率6・44。それがカットボールを本格解禁した8月以降は4試合2勝1敗、同1・61と激変した。この日もカットボールを有効活用し、強力打線に立ち向かった。

 幼い頃はウルトラマンの本がお気に入りで、ヒーローに憧れていた常広。チームの連敗脱出に貢献し、自らがヒーローになった。今季最多3万1730人の前で初めて上がったお立ち台を、「お客さんが沸いてくれて楽しい」と振り返った。

 「広い世界に羽ばたいてほしい」という両親の思いが込められた「羽也斗」。セ界に羽ばたく“孝行息子”となる。 (長谷川 凡記)

 ◇常広 羽也斗(つねひろ・はやと)2001年(平13)9月18日生まれ、大分県出身の22歳。大分舞鶴では甲子園出場なし。青学大では2年春からリーグ戦に登板し通算8勝。23年の全日本大学野球選手権で優勝に貢献しMVPと最優秀投手。23年ドラフト1位で広島入り。1メートル80、77キロ。右投げ右打ち。

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