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桂治門 教員志望から落語界へ…師匠・小春団治の落語が人生変えた「肩ヒジ張らず、気楽に聞ける落語を」

スポニチアネックス 2024年9月18日 11時1分

 【古野公喜のおもろい噺家み~つけた!】教員志望から噺(はなし)家の道へ。芸歴16年の桂治門(42)は「肩、ヒジ張らず、気楽に聞いてもらえる噺家に」と精進の日々だ。

 中学、高校の社会科教諭の免許を取るために大学へは6年半通った。教育実習で「話術を磨くために落語を聞けば」と勧められた。そこで聞いたのが師匠・桂小春団治(66)の「冷蔵庫哀詩(エレジー)」。創作落語に「聞きやすく、面白かった。魅力を感じた」とはまった。

 初めて落語会に出かけたのは大阪・高槻での師匠の会。満席で入場できず、仕方なく駐車場で出待ち。その場で弟子入り志願するつもりはなかった。だが、師匠の顔を見たとたん「思わず、弟子にしてくださいって」。車の後部座席に三代目桂春団治師匠夫妻を待たせていた小春団治は焦っており「あとで連絡を」と連絡先を交換しただけで立ち去った。

 数日後、天満天神繁昌亭近くで会い、正式に志願。小春団治はそれまで2、3人の弟子がやめており「弟子を取るのはイヤみたいな感じでした」。ただ、三代目春団治が「自分の勉強になるから取れ」とプッシュしてくれていたおかげで、弟子入りがかなった。

 通いの弟子として3年間、朝から夕方まで師匠の下で修業した。「毎日、怒られるのが仕事でした」。掃除の仕方、食事の作り方や給仕の作法。「何かのタレの袋を口で開けて出して怒られ、車での座る場所が分からず、怒られました」。日常の取るに足らないことから社会人としての常識を身につけさせてもらった。

 「繊細」で「華麗」な古典落語を演じた大師匠の三代目春団治、その弟子の小春団治は積極的に創作落語を作り、NPO法人「国際落語振興会」を立ち上げて海外公演で字幕落語を披露するなど、多方面で活躍中だ。身近に素晴らしいお手本がいっぱい。「創作落語をやるつもりで入門。今は古典をしっかり楽しく見てもらえるように頑張ってます」。サラリーマンネタの創作落語も試作中だ。

 師匠の小春団治から「ボチボチ大きいことを」と言われ「独演会をやってみたい」。2カ月に1度の勉強会「初音寄席」を弟子入り記念日の10月23日に開催する。今回で49回目。毎回、新ネタを下ろす。「全く同じ日に入門した露の紫さんをゲストに」。大師匠、師匠に一歩ずつ近づきたい。 (演芸担当)

 ◇桂 治門(かつら・じもん)本名・藤元惇。1982年(昭57)5月5日生まれ、兵庫県出身の42歳。桃山学院大卒業後の2008年10月、桂小春団治に入門。趣味は絵を描くこと、アニメ。

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