【玉ノ井親方 視点】大の里と琴桜の取り直しの一番は、あっけない相撲内容だった。最初の取組直後に大関が顔をしかめていたので、ケガをして力が入らなかった可能性がある。土俵に足がつくのを遅らせようと、股を広げた際に痛めたのではないか。
ただ、最初の一番も流れは大の里だった。もろ差しを許さないように右を固めて当たり左上手は許したが、右が入ったことで自分の形をつくることができた。
左でおっつけながら一気に前に出ると、琴桜は土俵際で周り込むのがやっと。どちらが番付上位者か分からない相撲だった。これで大関獲りと2度目の賜杯に大きく前進した。しかし結果は後からついてくると思って、千秋楽まで気を緩めないことが大事だ。
最後に引退届を出した貴景勝はまだ28歳と若いが、首のケガは一歩間違うと大変なことになる。これからは指導者として角界を支える活躍を期待している。(元大関・栃東)