第35期女流王位戦5番勝負で開幕3連勝した福間香奈女流王位（32）＝女流5冠＝が1日、大阪・関西将棋会館で就位式に出席した。5番勝負では挑戦者の加藤桃子女流四段（29）を相手に6連覇を達成。通算10期目となる女流王位を獲得した。
「私自身、長い持ち時間が好きなので、戦う前からすごく楽しみにしていた。第2局を辛抱して勝てたことが、いい流れにつながった」
後手番で、向かい飛車を用いた札幌対局がポイント。女流棋戦最長、持ち時間4時間で1分未満が切り捨てのストップウォッチ方式での5番勝負を振り返った。
棋士養成機関・奨励会の元三段・福間健太さんと結婚し、今年1月1日に結婚を公表。以降、福間姓に変更して対局に臨み、8月には妊娠も発表した。
現在妊娠8カ月で12月に出産予定。謝辞では「出産によってご迷惑をおかけすることもあるかと思うが私自身は、無事出産を終えて、最高の状態でタイトル戦に向かえるよう全力を尽くしたい」。女流の全8冠中、5冠を保持する福間は復帰意欲を語った。
胎児は対局中、お腹を蹴ってくることもあるそうで、「結構、ポコポコと」。将棋盤へ向かう際の、勝負師とは違った顔を見せた。福間の体調面への配慮から、本拠地である同会館での開催となった。来月、同会館が高槻市へ移転する直前。女流タイトル通算59期の福間にとっても、初の就位式となった。
5階建ての同会館は、棋士らが練習将棋に励む棋士室がある3階、4階と5階は対局室という構造。「階によって思い出が違う、3階は勉強してきた思い出。階が上がるにつれて神聖な場所。最後の就位式を行えることをうれしく思います」と笑顔で語った。