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【元横綱・稀勢の里コラム】妙義龍、碧山が引退「花のロクイチ組」現役関取は宝富士だけに

スポニチアネックス 2024年10月2日 7時2分

 秋場所では3人の現役関取が引退を決断しました。年寄「振分」を襲名した元関脇・妙義龍と年寄「岩友」を襲名した元関脇・碧山、そして年寄「湊川」を襲名した元大関の貴景勝。いずれも幕内で活躍し、人気もあったので寂しい思いをされているファンの方も多いのではないでしょうか。

 妙義龍と碧山はともに私と同じ昭和61年(1986年)生まれ。ほかにも元大関・豪栄道(武隈親方)、元関脇・栃煌山(清見潟親方)、元幕内・徳勝龍(千田川親方)ら関取15人を輩出した学年で「花のロクイチ組」とも言われました。妙義龍のイメージは、右を差して馬力を生かしながら前に出る。大きさは違っても大の里のようなスタイルが特徴的でした。技能賞を6回も獲得したようにうまさも兼ね備えていたので、右差しを注意しながらの対策を常に考えていました。ケガで序二段まで下がりましたが、そこでじっくりと体づくりを一からやり直したのも良かったようです。最終的には38歳までやり続けたのは立派。学生出身でもたたき上げのにおいも醸し出す味のある力士でした。

 碧山ははまった時の馬力がすごかった。突き押しにこだわりを持っていましたし、太い腕で左右均等に突っ張ってくるので受け止めるのも大変。はたきもあるので、距離感も難しい相手でした。同学年といっても現役時代はあまり意識することはありませんでしたが、私が引退してからは何歳までやれるのだろうかなど気になる存在ではありました。2人とも苦労も多かったので、その経験を後輩らに伝えてくれそうです。61年組の現役関取は宝富士だけになりましたが、北ハリ磨らも頑張っていますし、一日でも長く土俵に上がり続けて世代のレベルの高さをアピールしてほしいと願っています。

 貴景勝は最後はケガとの闘いがメインになっていましたがよく頑張りました。首は私も痛めたことがありますが、致命的なケガで命にもかかわるもの。最近は頭でぶちかましても途中で動きが一瞬止まってしまうことも散見された。首の怖さを分かっている身としても負担は大きいと心配していました。ケガに苦しみながらも優勝4回は評価に値します。

 28歳での引退。確かに、まだできるという声もあったかもしれません。個人的には、ひと安心というか、引退はいい判断だったと思います。指導者として、いい力士を育ててくれると期待しています。 (元横綱・稀勢の里)

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