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スカウトも驚いたU18代表のサプライズ「正捕手熊谷」 プロ志望届は提出せず「次は大学ジャパン」

スポニチアネックス 2024年10月5日 22時20分

 今夏の甲子園で準優勝した関東第一(東京)はあす6日開幕の佐賀国体で青森山田と開幕戦を戦う。関東第一、京都国際が決勝まで勝ち抜けば今夏の甲子園決勝のカードが再び実現する。ドラフト候補では関東第一の最速151キロ右腕・坂井遼(3年)、神村学園(鹿児島)のスラッガー・正林輝大(3年)らが最後のアピールを狙う。

 関東第一の捕手・熊谷俊乃介(3年)は今夏の甲子園、U18日本代表で出場したアジア選手権ともに準優勝。頂点まであと一歩及ばぬ大会が続いただけに有終の美を狙う。プロ志望届は提出せず、「自分は力が足りないところばかりなので大学の4年間で成長してからプロに行きたい」と大学進学を希望する。

 夏の甲子園で活躍した選手で構成されたU18日本代表。捕手の2枠には、世代No.1捕手と称される健大高崎(群馬)・箱山遥人(3年)と熊谷が選出された。選出自体にも「自分が選ばれるとは…」と驚いた熊谷だったが、台湾でのU18アジア選手権ではレギュラー捕手を任された。箱山は今春の選抜で健大高崎を初の日本一に導いた主将であり、強肩強打の捕手。10月24日のドラフトでは指名が濃厚で、視察したスカウトからは「箱山はどこかケガしたのか?」と声が挙がるほどの抜てきだった。本人も毎試合、メンバーが発表されるまでスタメンであることを知らずレギュラーの自覚もなかったが、スーパーラウンドも、決勝も熊谷はマスクをかぶり続けた。

 熊谷が正捕手に抜てきされた理由はリード面にあった。150キロ超の投手を擁する韓国、台湾とはロースコアゲームが予想され、さらに使用するバットは木製バット。そして国際大会は7イニング制。首脳陣は投手陣の能力を最大限発揮できるのは熊谷と判断。関東第一では異なるタイプの投手の持ち味を引き出す場面が目立っていたことも追い風だった。実際にスーパーラウンドでの韓国、台湾との2戦で計2失点と狙い通りの展開に持ち込んだ。熊谷も「甲子園でもロースコアゲームの場面を経験してきたので日本代表でも生かすことができた」と振り返る。

 ベンチを温める時間が長かった箱山も決してクサるようなことはなかった。試合中は誰よりも声を出した。熊谷と一緒に相手の打撃練習を研究し弱点を探った。宿舎でもトランプで親睦を深めた。「自分の力が足りないと分かったのでもっと練習したい」と大会後のモチベーションにもつなげていた。健大高崎では不動のレギュラーだった箱山。プロ入り後には一番下から1軍昇格を狙うことになるだけに貴重な経験になったはずだ。

 甲子園決勝、そして高校日本代表とこれ以上ない舞台を経験した熊谷。「自分は打てる捕手になりたい。次は大学ジャパン入りを目指して頑張りたい」とレベルアップを誓った。シルバーコレクターが高校最後の公式戦となる佐賀国体で頂点に立てるか。関東第一の扇の要に注目だ。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

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