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「1番・大谷」で進化した新ドジャースの戦法 「スモールベースボール」にさらなる武器

スポニチアネックス 2024年10月7日 1時33分

 ◇ナ・リーグ地区シリーズ第1戦 ドジャース7-5パドレス(2024年10月5日 ロサンゼルス)

 まだ本拠地がニューヨーク・ブルックリンだった時代。黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンらが活躍したドジャースは、1947年から10年間で6度のリーグ優勝を飾る常勝チームになった。戦力的に乏しかった当時、チームを支えたのが現在の「スモールベースボール」につながる「ドジャースの戦法」だった。

 守備、攻撃、指揮など詳細につづられた野球指導書として54年にまとめられている。犠打やヒットエンドラン、バントシフトなどチームプレーを重要視。大谷による2回の3ランは、その50年代に1番打者として活躍したジム・ギリアムが53年に打ってから球団6人目のPSデビュー戦本塁打だった。

 大谷は2点を追う4回1死一、二塁から、バットを折りながら中前打で好機を拡大。ベッツ、フリーマン、T・ヘルナンデスの主軸へつなぎ、逆転劇を導き出した。2回は下位でつなぎ1番・大谷が同点3ラン。大谷も「打線全員がいい仕事、個人、個人多かった。ヒットじゃなくてもチームのためにしっかり送れていた打席が多かったと思う」と振り返った。1番・大谷が「つなぎ役」「決め役」の2役を担うのは、今季の得点パターンだ。

 「ドジャースの戦法」では走塁への高い意識が求められている。3―5の3回。得点にはつながらなかったが、先頭で右前打したフリーマンが、二盗に成功。右足首捻挫からの復帰戦で、好投手シースを何とか攻略しようと仕掛けた。7―5の8回1死一塁の大谷の打席では、一塁走者のエドマンが何度もスタートを切り、6球目に二盗に成功。レギュラーシーズンでも相手の外野手が少しでも隙を見せれば次の塁を陥れる走塁も目立った。

 ギリアムはド軍時代の14年間で203盗塁の一方、本塁打は65。今季54本塁打&59盗塁という前人未到の数字を積み上げた大谷は、いわば「新ドジャースの戦法」の核。その一端を証明した、PSデビュー戦だった。

 ▽ドジャースの戦法 攻撃では犠打やエンドランを多用し、守備ではバントシフトなどを駆使する「スモールベースボール」の基礎ともいえる戦法。ドジャース元GMのアル・キャンパニス氏が、スカウト時代の1954年に野球指導書として発行=写真。「守備編」「攻撃編」「指揮編」の3部構成で3年後に日本で翻訳された。巨人・川上哲治監督が「チームプレーのバイブル」として戦法を導入。65年からのV9につなげた。

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