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米ツアー出場権つかんだ大西魁斗 土壇場のスイング修正支えた内藤雄士コーチの国際電話

スポニチアネックス 2024年10月9日 8時1分

 【福永稔彦のアンプレアブル】男子ゴルフの大西魁斗(25=ZOZO)が来季の米ツアー出場権を獲得した。6日まで開催された米下部ツアー最終戦コーンフェリーツアー選手権を13位で終え、年間ポイントランクで25位となり、上位30人に与えられる出場権を手にした。

 試合後に行われたセレモニーでは、日の丸を肩に掛けて入場。ツアーメンバーカードを笑顔で受け取った。

 「夢が叶った。9歳で米国に移住し、米ツアーで活躍した丸山茂樹さんに出会うことができた。僕もいつかは米ツアーで戦いたいと思ってきた。来年が楽しみ」。インタビューでは、流ちょうな英語でそう話した。

 愛知県出身の大西は5歳でゴルフを始め、9歳から米国に留学し腕を磨いた。名門・南カリフォルニア大に進学し、アマチュア時代には米ツアー3勝の丸山茂樹の指導を受けたこともある。

 21年に日本ツアーでプロデビューすると、22年フジサンケイ・クラシックで初優勝を飾った。昨季から米下部ツアーに参戦し、2季目の今季は6月の大会で初優勝するなど飛躍を遂げた。

 ただ米ツアー昇格に関しては、決して安心できる状況ではなかった。8月に2試合連続予選落ちするなど夏以降は調子を落とし上位に顔を出すことができなかった。2週前の大会も予選通過したものの76位に低迷。ポイントランクは28位まで後退し、崖っぷちに追い込まれた。

 試合がなかった前週、大西は日本にいる内藤雄士コーチに連絡を取り「ショットが全然駄目なんです。飛距離も飛んでいないです」ときゅう状を訴えた。

 内藤コーチは「1週間かけて修正しよう」とスイング改造を提案。大西から送られてきた動画を分析し「手打ちになっている。手と胸の距離を保って、胸を回して振った方が良い」と修正するポイントを指摘した。

 元々、大西は手先を使わず、胸を回し、最後はヒップターンでクラブを振っていくタイプ。しかし疲労がたまってくると、バックスイングを手で上げるようになり、グリップと胸の距離が近くなる。すると胸の回転が少なくなり手打ちになる。大事な終盤戦でその症状が表れたのだ。

 1週間の突貫工事。大西は「違和感しかない」と漏らしたが、元に戻せば悪い結果になることは目に見えている。内藤コーチは連日、動画をやりとりして、国際電話やLINEで助言を送り続けた。

 最終戦の初日前には「動きはいい。気持ち悪いかも知れないけど、そのまま行こう」と背中を押した。その言葉通り、日を追うごとにショットの精度は高まった。

 最終日、ホールアウトした大西は内藤コーチに電話を掛けた。「やりました。何とか残れました」と出場権獲得を報告し「思い切ってスイングを直して良かったです」と指導に対する感謝の気持ちを伝えた。

 下部ツアーを経由して米ツアー出場権を獲得した日本人は今田竜二、石川遼、岩田寛に次いで4人目。下部ツアーにフル参戦して昇格するのは今田以来で2人目。来季は世界最高峰の舞台に立つ。

 内藤コーチは「まずはシードを目指して頑張ってほしい。そして秋のフォールシリーズあたりで勝てたらいいね」と期待を込めた。(スポーツ部専門委員)

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