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世界王座へ返り咲いた矢吹正道「弟がいなかったら、やめてます」力石政法との夢を優先

スポニチアネックス 2024年10月13日 13時29分

 12日に実施されたプロボクシングIBF世界ライトフライ級タイトルマッチで9回TKO勝ちし、世界王座に返り咲いた矢吹正道(32=LUSH緑)が試合から一夜明けた13日、名古屋市内で改めて喜びを語った。同級2位の挑戦者として臨み、王者だったシベナティ・ノンシンガ(25=南アフリカ)から計3度のダウンを奪い完勝した。顔に傷はほとんど見当たらない。サングラスなどを着用せず、晴れやかな表情だった。

 「とりあえずホッとしている。練習をギュッと(凝縮して)やってきた。寿命が縮まりました。もう、ゆっくりしたい」

 ゆっくりすると言いながら16日にはジムへ顔を出すつもりだ。「体を動かしたい。ここ2週間は(減量のための体重)調整期間で子供たちはジムに来てなかったから」。長女・夢月(ゆづき)さん(14)、長男・克羽(かつば)さん(11)の練習に付き合うのは大事な家族サービスであり、自分にとって癒やしでもある。「教えるのも好きなので」。現役引退後は世界王座獲得以前に従事していた建設関係の仕事ではなく「ジムをやろうと思っている」とプランを明かした。

 現級の試合は今回が最後と改めて宣言した。「一つ言えるのはライトフライ級ではもうやらない」。理由はやはり減量苦だ。「(減量期間中に)一つの作業でミスがあると(体重は)落ちない。今回は順調だった。でも、いつもケガしたり風邪をひいたり、そういうのがあると落ちない」。綱渡りの危険を少しでも減らしたいという。

 前夜の試合直後に「チャンピオンのまま引退するのも目標の一つ」と現役引退に含みを持たせる発言があった。「今はおなか、いっぱい。ボクシングをやりきった。弟がいなかったら、やめてます。弟の目標は兄弟同時に世界チャンピオンだから」。弟の力石政法はスーパーフェザー級で東洋太平洋、WBOアジアパシフィック王座を獲得した実績を持ち、既にWBC世界王座への挑戦権を得ている。矢吹が世界王座へ返り咲き、2人の夢を実現させるまで、あと一歩だ。もっとも矢吹自身は冷静で「そこまで同時期という部分にこだわりはない。やっぱり同時は難しい部分がある」と状況を見守る構え。

 フライ級へ進出した場合はWBO王者アンソニー・オラスクアガ(米国)との対戦を望む。「日本でも人気がある選手。自分と、かみ合うと思う。今、対戦すれば6対4ぐらいで向こうが有利。“自分が負ける”と思う相手の方が燃える。そういう相手とやりたい。(現役で)やるとしても残り数試合。モチベーションが全て」。32歳は自身の闘志がふつふつと沸くような強敵を求めている。

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