◇セCSファイナルステージ第1戦 巨人―DeNA(2024年10月16日 東京D)
パリ五輪のレスリンググレコローマン77キロ級で金メダルを獲得した日下尚(23)が始球式に登場。力強い投球でスタンドを沸かせた。
金メダルを手に、背番「70」を背負い東京ドームのマウンドに登場した23歳の金メダリスト。どっしりとしたフォームで力強い投球を披露した。わずかにワンバウンドし苦笑いを浮かべたが、日下は待ち望んだ始球式を終え、スタンドの歓声に笑顔で手を振って応えた。
日下は興奮の始球式後、開口一番「いや、なんかやっぱり…夢は寝ながら見るもんじゃなくて、昼間見るもんだなと思いました」と“迷言”。巨人ファン歴についても「もう生まれてからずっとなんで。生まれてから、生きてきた(時間が)巨人ファンです。はい」と言って報道陣を笑わせた。
日下との主なやりとりは以下の通り。
――ワンバウンド投球。
「そうですね、びっくりして。やっぱ憧れのテレビでしか見たことないマウンドに立って、緊張しないと思ってたんですけど、オリンピックも緊張しなかったんで。で、こう、マウンドで、こう…片足になった時に、軸足が震えてたんで、全然ダメでしたね。いや、でも楽しかったっす」
――レスリングの会場とは違った。
「そうっすね、僕はボールじゃなくて、人ばっかり投げてきたんで(笑い)ボール投げる練習がもっと必要でした。はい」
――海外リーグに参戦中。
「そうっすね、今、ブンデスリーグ、ドイツのレスリングのリーグ戦に参加していて、で、また明日の夜からドイツに行くんですけど、 ちょっと夢をかなえるために帰ってきました」
――試合前には同郷の浅野と話。
「テレビでしか見たことなかったんで、もう同じ県っていうこともあったんですけど、実際に会ったことなくて。ちゃんと会えて、好青年だなと思ったすね。やっぱ本当に自分も巨人ファンで、そこの巨人に入ってくれて、自分がなんか上から言ってるみたいでおかしいですけど、活躍してくれてるって、もう香川県民、高松市生まれの僕にとっても本当ににうれしいし、県民の皆さんも勇気と希望になると思うので。会えてうれしかったです」
――浅野とはどういう話を。
「本当に頑張ってくださいっていうのと、地元トークでなんかその、共通の知り合いがいて。みたいな。本当になんか地元の話をしましたね。地元の友達が共通でいてとか、浅野選手の後輩が僕の後輩とか、なんかそういうつながりを話しました」
――マウンドからキャッチャーまでの距離は18.44メートル。
「相手との距離は1メートルない距離ばっかりなので、そんな遠い距離にあの狙いを定めたことがないので難しかったっすね。最高に楽しい18.44メートルでした(笑い)」
――練習は。
「公園で近所の中学生に教えてもらってました。ちょっと体の開きが早いんで、しっかり壁をつくれって言われて、結構投げ込んだんですけど、ダメでしたね。結構やっぱいい眺めなんすけど、マウンドに立った時、こう…キャッチャーが見えて、ぶわーっていう。これ俺投げれそうだなと思ったんすけどね。気持ちだけでしたね。球は走んなかったっす」
――背番号70は。
「これはもう僕の階級が77なんで77か迷ったんすけど、僕のルーツ、尚っていう高橋尚子さんから受け継いだ名前のルーツにしようと思って、70番にしました」
――金メダリストの実感がより湧いてきた。
「実感すか。いや、全然。自分なんかもう本当にそんなたまやないんで…まあ球だけに。もう本当に球団の人たちに感謝しかないです」
――また投げたい。
「そうですね。次オリンピック優勝してもう1回投げれたら。そのためにレスリングと一緒にこっちも練習しときます。お願いします」
――チームにエールを。
「いや、もう絶対優勝してください。僕を含め多くのファンが優勝を待ち望んでいるのでよろしくお願いします。 頑張ってください」