将棋のALSOK杯第74期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグは18日、大阪・関西将棋会館で菅井竜也八段(32)と西田拓也五段(33)が対局し、後手・西田が122手で勝利した。3日の羽生善治九段戦にも勝利した西田は、第72期に続いて第73期挑戦者も連破。広瀬章人九段(37)と並ぶ2勝0敗で、藤井聡太王将(22)=7冠=への挑戦権争いの先頭を走っている。
「出来過ぎです。でも最後まで、残せているのか分からなかった」
先手はあらかじめ菅井に決まっており、お互いに角道を開け合った3手目、菅井が▲4六歩の新手を見せた。日本将棋連盟による10万局以上のデータベースに角道を開け合った後のこの3手目▲4六歩は1件もヒットしない。振り飛車党の両者。四間飛車の西田に、菅井は右四間飛車の対抗型で応じた。
左右の桂2枚を跳ね出した西田が70手目、角を成り込んで香を確保。90手目、歩切れの菅井陣へ△7六香と打ち込んだ。「ちゃんとやれば余せそう。ただ、(菅井の残り49分に対し、25分と)時間がなかったので」としながらも、手応えを感じたという。
段位だけを取り上げれば、プロを指す四段から一つ上の五段の躍進。一躍、台風の目へ躍り出た新星の動向に注目が集まる。
21日に近藤誠也七段戦、24日は永瀬拓矢九段戦と対局が集中するのは王将リーグならでは。「間隔が短いので体調管理に気をつけて臨みたい」と西田は穏やかに語った。対して連敗発進となった菅井は、3手目▲4六歩について「具体的な意味合いは難しいですが、そういう手もあるかなと思った」と回想。21日の羽生戦へ向け、「少しでも内容を良くしたい」と挽回を期した。