将棋の藤井聡太竜王(22)=王将を含む7冠=が挑戦者に佐々木勇気八段(30)を迎える第37期竜王戦第2局は20日、福井県あわら市「美松」で2日目が指し継がれ、先手・佐々木が103手で勝利した。タイトル戦初登場の佐々木がタイトル戦初勝利。1勝1敗のタイへ戻して25、26日、京都・仁和寺での第3局へ臨む。
「こちらから振られると思ってなかったので」
終局後、抽選倍率15倍を突破したファンが集う大盤解説会場で藤井が第一声を発した。司会者から、第2局の感想を聞かれるのはまず勝者との思い込みがあったのだろう。苦笑いでマイクを引き取ると、「福井の方に歓迎してもらえて気持ちよく対局できた。一手一手が難しい将棋だった」と2日間を振り返った。
7月の王位戦第3局以来のタイトル戦連勝が7で止まった。第35期第6局以来の竜王戦7番勝負での連勝も6で止まった。何より、勝てば今年度20勝5敗で、藤井にとっての定位置と言える勝率8割復帰を逃した。
悔いたのが、攻め合いになった2日目午前。8筋へと金を作って佐々木金に当てたが、6筋へ逃してその後、飛車まで撤退。読みに誤算が生じたのだろう。思い描いた攻めが通じず、「その辺りは相当苦しくなってしまったなと思った」と非勢を悟った。
移動日や対局場検分を含め、中4日で第3局がやってくる。「本局は完敗だったと思うので、また第3局。日にちも近いのでしっかり立て直してまた頑張りたい」。1年前、史上初の全8冠独占を果たした京都から出直す。