【評伝】日本の社会で今ほど性の多様性が市民権を得ていなかった1980年代、ピーコさんは歯に衣（きぬ）着せないストレートな言動でおネエタレントのパイオニアとなった。
ピーコさんの存在を世に知らしめたのはTBSやフジテレビのワイドショー番組で放送された「辛口ピーコのファッションチェック」。繁華街を歩く素人のファッションを「全然ダメ」「似合ってません」とおネエ言葉で酷評したが、忖度（そんたく）なしにズバッと指摘するスタイルが新鮮さをもってお茶の間に受け入れられた。
サラリーマン生活などを経て好きなファッション界に入った苦労人。89年には悪性黒色腫というがんを患い、ファッション評論家にとって大切な左目の眼球の摘出手術を受けた。以後、サングラスが欠かせなくなったが、その物言いが変わることはなかった。
スポニチとピーコさんの出合いはピーコさんがまだ世に出る前の70年代前半。「横浜におもしろい兄弟がいる」との情報を得て交渉。本紙レジャー面でおすぎと映画やファッションなどについて語るコーナーを担当した。