今季限りでの現役引退を発表したC大阪の山下達也(36)が24日、大阪市此花区での練習後に報道陣の取材に応じた。
これまでJリーグ通算293試合出場10得点。対人能力の強さやヘディングを武器にC大阪の最終ラインを長く支えてきたが、近年はケガが重なり、思うようにプレーできなかった。引退を決意した理由を問われ「まだやりたい気持ちはあるけど、体がついてこないというか…。ケガだったりで足を引っ張ってしまうと勝敗に関わってくる。これ以上、みんなに助けてもらうわけにはいかないと思って決断した」と語った。
06年に御影工からC大阪に加入。熱心に誘ったのは、当時はスカウトだった小菊昭雄監督だった。「素晴らしい身体能力を持っていて、ヘディングも強かった。ただ、課題もいっぱいあった」。同期には森島康仁や1学年下の香川真司、2学年下の柿谷曜一朗らがおり、ユース年代の日本代表選手たちには遅れを取っていた。
山下自身も「正直、自分と周りで全然レベルが違った。練習についていくだけで必死だった」と語ったことがある。それでも、努力だけは怠らなかった。札幌から復帰した後もなかなか出場時間を延ばせなかった中、13年5月のアウェー柏戦でDF茂庭が負傷交代して前半33分から緊急出場すると、相手FWクレオを封殺。ここで定位置をつかみ、14年4月には日本代表候補のトレーニングキャンプに招集されるまでになった。
14年にJ2降格となった際には他クラブからのオファーも届いたが、思い入れのあるクラブに残留した。柏への移籍を経て古巣に復帰し、今季は主将を務めた。
引退発表前には恩師である小菊監督に報告し、夫人にも伝えた。成長を見守ってきた指揮官は「いろんな思いがあるけど、本当によく頑張った。それに尽きる。(自身が)関わった中でも一番、努力し続けてきた選手」とねぎらいの言葉を送った。