中日から5位指名で名前を呼ばれると、野球部員90人の大歓声が湧いた。北照の149キロ左腕・高橋の緊張感あふれた面持ちは笑顔に変わった。「素直にうれしい。今までやってきたことが報われた気持ち」。仲間からの花束と寄せ書きのサプライズプレゼントに、笑顔がさらに輝いた。
「プロ野球界で20年間やり続ける選手になる」。そう誓って挑む未知の世界も、心強い先輩がいる。中日には北照出身の左腕・斎藤綱記が在籍している。冬から上林弘樹監督を通じて渡された斎藤の黒グラブを練習で使った。「自分もこういうプロ野球選手になりたい」。そう思わせてくれた同じ左腕の先輩と「北照高校リレー、いつかやりたいです」と夢を描いた。
3週間前、秋季大会に挑む後輩相手のシート打撃で自己最速を更新する149キロをマークした。最速よりも平均球速を上げることを重視するが、夏を終えても進化を止めない。「プロ初先発初勝利、2桁勝利は狙っていく」。進む道が定まった高橋は、視線を先に向けた。（竹内 敦子）