第49回社会人野球日本選手権は、あす29日に開幕する。2年ぶり18回目の出場となるNTT東日本は、同日の開幕戦でマツゲン箕島硬式野球部と激突。主将の下川知弥内野手(32)が、今大会にかける意気込みを語った。
「相手のことや開幕戦ということは関係なく、攻めて、攻めて、攻めまくる自分たちの野球を貫きたいと思います」
今季は4月に開催されたJABA静岡大会で優勝し、日本選手権の出場権を獲得。都市対抗東京都2次予選でもセガサミー、JR東日本、東京ガスを退け、見事に第1代表の座を勝ち取った。
そんなチームにとっての分岐点は、今夏の都市対抗本戦だった。優勝候補の一角に挙げられていたが、北海道ガスの前に初戦敗退。「自分たちの野球ができなかった」と振り返る悔しい一戦となったが、下川は現実から目を背けることなく、大会後のミーティングでナインに語りかけた。
「これが今の僕らの実力。このままではダメ。しっかりこの敗戦を受け止めて、チャレンジャーとして攻めていく気持ちを忘れずやっていこう」
主将として、これまで以上に一人一人の選手と対話を重ね、円滑なコミュニケーションをはかることに腐心した。選手間ミーティングもたびたび開催。一丸の空気をつくりあげた。
もちろん、一プレーヤーとしても、このままでは終われなかった。従来は余分な力が入らないようバットを構えていたが、懐を大きく取るために右肘を伸ばすような構えに変更。右足を上げるのもやめ、ほぼノーステップで打つフォームに取り組んだ。
「10年目ですが、すごい結果を残してきたわけではありません。試行錯誤をしながら、少しでも良くなるように。(都市対抗での初戦敗退を経て)チームだけではなく、自分自身も変わらなければいけないので」
飽くなき向上心が実を結び、10月23日のHondaとのオープン戦では左投手のスライダーを二塁打。「狙っていなかったが体が反応した」という一打は、理想に掲げる左中間への打球だった。下川は言う。
「このチームが始まって日本一を目指してやってきた。日本選手権がこのチームとして最後の大会。集大成として日本一を取りに行きます」
都市対抗では2度の優勝を誇るが、日本選手権は22年の準優勝が最高成績。悲願の初優勝へ、挑戦を恐れない下川主将がチームを引っ張る。