◇プロボクシング日本バンタム級タイトルマッチ10回戦 王者・増田陸(帝拳)《10回戦》宇津見義広(ワタナベ)(2024年11月2日 後楽園ホール)
日本バンタム級王者の増田陸(27=帝拳/5勝5KO1敗)が、11月2日に東京・後楽園ホールで開催される『WHO’s NEXT DYNAMIC GLOVE ON U-NEXT Vol. 26』で同級9位、宇津見義広(ワタナベ/17勝10KO11敗6分け)相手に初防衛戦を行う。「日本チャンピオンという肩書きがついて真価が問われる試合になる。自分のボクシングのいいところをしっかり出して、試合の主導権をずっと握り続けるのが理想。KOで勝ちたい」とアピールを誓った。
アマチュア戦績は66戦52勝14敗。立大卒業後の22年7月のデビューから左の強打を武器に3戦連続KO勝利。同じ左構えで「神の左」と呼ばれた左ストレートを武器とした、元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏と比較されることも多い。担当トレーナーは山中氏を現役時代に指導した大和心トレーナーで「ミットを貫通するような左の質は慎介とそっくり。無駄なこともしないし、筋の通った性格も似ている」と教え子同士の姿を重ね合わせる。
増田はその武器の左だけに頼らず、7月の前戦では右フック一撃で富施郁哉(ワタナベ)に4回KO勝ちし日本同級王座を獲得した。「スタンディングダウンはアマチュア時代もあったが、右でしっかり倒したのは前回が初めて。サウスポー対策としてやってきたことが形になっているし、今は左だけでなく右も自信が出てきている」と完全無欠の王者を目指し、日々高みを目指している。
初防衛戦をクリアすれば、来年には世界挑戦の可能性も浮上する。その舞台で、WBA世界同級王者・堤聖也(28=角海老宝石)への雪辱を果たすことも視野に入れている。堤には23年8月の日本同級タイトルマッチで判定負け。その因縁の相手は10月13日に行われたWBA世界同級タイトルマッチで前王者の井上拓真(28=大橋)に12回判定勝ちし、新王者となった。会場で戦況を見守った増田は「凄くいい試合だった。自分も気合が入ったし、負けていられない気持ちになった」。素直に堤の強さを認めた上で「一度負けた選手だが、世界の舞台で再戦できる機運が高まれば自分も周りも盛り上がると思う。リベンジするなら世界?そうですね」と静かにその時を待つ。
今やトレードマークとなっている丸刈り頭は堤戦敗戦後、悔しさを忘れないために自らバリカンで刈り込んだ。1回KO勝ちした2月のジョナス・スルタン(フィリピン)戦後から理髪店に通い、「今は上が6ミリ。ラインアップとフェードも入れてこだわっています」と自慢の“バーバースタイル”をなでるが、「好きなものを犠牲にして、ボクシングに集中したかった」と唯一の敗戦後は、2週間に一度通っていた趣味の理髪店通いをやめ、真摯(しんし)に競技と向き合った。現在も悔しさを胸に秘め、ライバルの背中を追い続けている。
「バンタム級は今盛り上がってる。いつ世界のチャンスが来てもしっかり取れるように常に準備している。もちろんチャンスが来ればいつでもやる気持ちはあるが、もう少しキャリア積んで確実なものにできるようにやっていきたい」。世界ランキングはWBAでは9位に位置。世界へ強打をアピールするため、まずは年内最終戦での完勝を見据えている。
試合はU-NEXTで生配信される。