大相撲の新大関・大の里(24=二所ノ関)が30日、福岡市西区の同部屋宿舎で九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)へ向け本格始動した。福岡入り後初稽古の29日は幕下以下に胸を出したが、この日は十両・白熊、幕下・花の海と12番を取った。27日に終わった秋巡業は「アデノウイルス感染症」による体調不良で途中離脱しており、相撲を取るのは約2週間半ぶり。さらに仕上げのぶつかり稽古では師匠・二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の胸を借りた。
師匠とのぶつかり稽古は地方場所前の恒例となっている。引退して5年10カ月が経っても第72代横綱の壁はこの日も厚かった。大の里も懸命に前傾姿勢になるが押しても押せず、何度も転がされ砂まみれに。息も上がりふらふらになったが、必死に食い下がって7分間に及ぶハードな稽古を終えた。休養明けとあっていつも以上に体には応えたようで「親方を全然押せていなかったので、まだまだ」と振り返るが、師匠の愛のムチには「場所前に胸を出してもらえるのは有り難いし、いい稽古にもなりました。体力が落ちているので、初日に向けて稽古を積んで頑張っていきたい」と闘志を奮い立たせた。
白熊、花の海との申し合いは立ち合いで後手を踏んで押し込まれる場面もあったが、左右のおっつけからの攻めには迫力があった。4日には佐渡ケ嶽部屋で二所ノ関一門の連合稽古が行われ、他の部屋の関取と稽古で調整のピッチを上げていく。「体は完全復活している。4日までになまった体を戻していきたい。連合はいろんな関取と稽古できるいい機会。まだ時間もあるのでしっかり自分を追い込んで頑張りたい」と意気込んだ。