1981年から99年1月31日まで東京都品川区の大井1丁目に存在した伝説の名画座「大井武蔵野館」の閉館から25年、とりわけ人気の高かった「異常性愛路線」を中心とした東映作品が1月から4カ月連続でDVD発売されることが決まった。東映ビデオ株式会社が10月30日に発表した。
昨年はアートディレクター太田和彦氏の書籍「伝説のカルト映画館 大井武蔵野館の6392日」(立東舎)が出版され、今年は名画座「シネマヴェーラ渋谷」で「大井武蔵野館になってみた!」と銘打った特集上映が組まれて盛況を見せるなど、根強い人気を誇る同館。そんな勢いにも背中を押されての“とんでもない”DVDまつりとなる。
東映ビデオによれば、大井武蔵野館の名物支配人だった小野善太郎氏と営業担当の細谷隆広氏とともに作品を絞り込み、同館らしい輝きを持った選りすぐりのラインアップがそろった。発売月ごとに、当時のチラシを再現した小野氏構成&執筆のリーフレット(全4種)が付き、ファンにはたまらないお宝グッズになる。
まず1月8日にはスウェーデンの世界的セクシーアイドル女優クリスチナ・リンドバーグ主演の「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」(監督中島貞夫、73年)が初ソフト化。「ディープ・スロート」で一躍名をはせた米俳優ハリー・リームスが日本の女優陣と共演した「生贄(いけにえ)の女たち」(監督山本晋也、78年)も初DVD化されて登場。ほかに石井輝男監督の「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」(69年)と実相寺昭雄監督の「D坂の殺人事件」(98年)と4作のDVDが再発売される。
2月12日には黒崎輝、真田広之、志穂美悦子らが出演した笑撃アクション「コータローまかりとおる!」(監督鈴木則文、84年)や、山田風太郎の忍者小説を鈴木則文監督が映画化した「忍びの卍」(68年)、横山やすしの主演作「ビッグ・マグナム 黒岩先生」(監督山口和彦、85年)、妖艶忍術映画「くの一忍法観音開き」(監督皆川隆之)など6作品がリリースされる。
小野氏は「かつての大井武蔵野館では、実は清く正しく美しい名作も多数上映しましたが、最もウケた、今風に言えばバズった企画は“とんでもない映画まつり”でした。他の名画座ではスルーされてしまうような作品ばかりを組んだプログラムで、東映作品多し。いや、東映作品無くしては成り立たなかったはず」と振り返りつつ「残念ながら閉館を余儀なくされて25年も過ぎましたが、このたび何と東映ビデオさんから声が掛かり、このようなDVDの形で“とんでもない映画まつり”が復活することになるとは!これも映画の神様の思し召しでしょう」とコメントを寄せた。