異例の紅白戦で「守り勝つ野球」を徹底的に磨く。西武の西口新監督が宮崎・南郷秋季キャンプ初日から導入したのは、投手をマシンに置き換えて行う紅白戦だった。「守備は普段のノックじゃない生きた打球を受けられる。この秋はより実戦的な練習が大事だと思う」とバックネット裏からナインの一挙手一投足に目を光らせた。
最速160キロ以上の直球に多彩な変化球を繰り出せるマシンで、西口監督が2軍監督時代に発案した紅白戦。1軍メンバーでは初の試みで、この日は最速を140キロ、スライダー、チェンジアップを交えた設定で実施した。紅組の守備では2―0の5回2死一、二塁で右翼・奥村が右前打に猛チャージして二塁走者を本塁で刺した。常に1点を与えない意識を統一させ、紅組はそのまま“完封勝利”を飾り、新指揮官は納得の表情だ。
今季は両リーグワーストの打率・212、60本塁打の歴史的貧打で3年ぶり最下位に沈んだ。得点力不足の課題は明白だが、一朝一夕に改善されるものでもない。就任会見では「守り勝つ野球」を掲げ、打線の現状を見極め、今キャンプではより実戦的な守備練習ができる「マシン紅白戦」を毎日、実施して守りから固めていく。
「初日から動けている印象はある。選手もしっかり準備してきている」と巻き返しに燃える選手たちの目の色も確認。練習前には「レギュラーはほぼ白紙。全員が来季1軍の座、レギュラーの座を狙ってやっていってほしい」と競争激化を求め、西口流キャンプで再建していく。(福井 亮太)