◇第49回社会人野球日本選手権1回戦 ミキハウス2―0ENEOS(2024年10月31日 京セラドーム)
19大会ぶり3度目の出場のミキハウスが2―0でENEOSを退け、初戦を突破した。2年目の松尾龍乃(りゅうだい)内野手(24)が2回に決勝の先制ソロ。4強に進出した前回大会に続く旋風を巻き起こすべく、力強く第一歩を踏み出した。
「ちょっと詰まったので入るかな?と思いましたが、意外に飛んでくれました」
2回1死走者なし。松尾がカウント2―1から4球目の外角高めチェンジアップを振り抜くと、右中間最深部への先制本塁打となった。オリックス5位指名の東山玲士から放った決勝弾は、入社2年目で公式戦初アーチ。山口県から駆けつけた祖父母、両親ら家族の前で大仕事をやってのけた。
福岡大では3年春のリーグ戦で3冠王を獲得した左のスラッガーも、入社1年目だった昨季は持ち味である打撃で苦しんだ。「結果を出さないといけないという気持ちが強すぎて、積極的に振ることができなかった」。悩める日々を過ごし続ける中、先輩からの言葉に救われた。
「三振してもOK。バットを振らないことには結果にならないぞ」
2歳年上で、同じ左打者の島沢良拓からは何度も励ましてもらった。2年目を迎えた今季は結果を恐れず、積極的に打ちにいく姿勢を重視。チーム内で徐々に頭角を現すと、5番打者を任されるほどの成長を遂げた。
豊富な練習量は誰もが認めるところ。DHとしての起用が続く中、守備、走塁練習も決して疎かにすることはない。走攻守における地道な努力の積み重ねが大舞台で花開いた。
今夏の都市対抗でも東京ガスに敗れるなど関東勢の厚い壁に阻まれ続けていたが、名門・ENEOSに勝利。2年前の都市対抗2回戦で敗れた借りを返した。陣田匡人監督は「(今大会限りで退任する)大久保監督を野球人としても人間としても尊敬しています。最後に最高の試合ができてうれしい。関東に勝つことを目標に1年間取り組んできたので、選手も少しは自信をつけてくれたと思います」と語った。