ドジャース・大谷翔平のワールドシリーズ優勝を受け、23年WBCでは侍ジャパンでともに世界一に貢献したカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手(27)が本紙の取材に応え、祝福のメッセージを送った。(取材・杉浦大介通信員)
――今はどこにいるのか?
「まだセントルイスだ。来週、カリフォルニアに移動する。セントルイスでトレーニングをしていて、カリフォルニアに戻った後も続ける。来季に向けた準備をもう始めている」
――今季の大谷の活躍を振り返ると?
「今季の翔平はとてつもないことをやり遂げた。54本塁打、59盗塁なんてシーズンは誰も目撃していない。もうすぐ3度目のMVPを勝ち取ることになるのだろうけれど、今季は投手としての登板はなく、打者としての貢献度だけでそれを成し遂げようとしている。信じられないことだし、ドジャースの世界一を大きく助けることになった。ドジャースが彼を獲得した際に期待した通りのことをやってのけた」
――大谷のことをよく知るあなたでも「54-59(54本塁打、59盗塁)」には驚かされたか?
「少しね(笑)。ただ、8月途中、翔平が40-40に近づいている頃、チームメイトの1人が“これは40-40をやるな”と言ったことがあった。そこで私は、“冗談抜きで彼は50-50をやるよ”と返したんだ(笑)。私の予想は当たっただけではなく、翔平は55-60の目前まで迫った。本当に誰の予測をも超えてくる選手だ。本来なら驚くべきなんだろうけれど、彼が何をやろうともう驚くべきではないと思うようになった」
――大谷にとって初のポストシーズンを見てどう感じたか?
「プレーオフが始まった当初、走者がいない場面で18打数0安打とかで翔平が批判されていたことがあった。その一方で、得点圏に走者を置いたところでは24打数18安打かなんかで打ちまくっていた。ベースボールを知っている人なら、チャンスの場面で打ってくれた方がいいに決まっているのに、妙な形で批判されているのはおかしな話だと感じた。そんな中、メッツとのシリーズでは先頭打者本塁打を打って、批判の声を黙らせたのは翔平らしいなと思ったよ」
――ワールドシリーズではケガを負いながらプレーを続けた。
「その姿からは決意を感じた。おそらく100%の状態ではないのだろうけれど、それでも翔平は99%の選手たちよりも上だ。彼が打線にいることで、ヤンキース投手陣の投球ははるかに難しくなった。今年の彼の目標はワールドシリーズ勝利を助けることであり、そのためには勝負師として何でもやる覚悟が感じられた」
――最近、連絡は取ったのか?
「地区シリーズを勝ち抜いたあと、テキストメッセージを送り、“おめでとう。ワールドシリーズまで頑張って”と伝えた。彼も“サンキュー”と返してくれたよ。翔平は多くのメッセージを受け取っているだろうけれど、私も彼のゲームを見て、応援していることは伝えておきたかったんだ。山本由伸にもメッセージは送った。彼もまた私の親しい友人だし、今プレーオフを通じてドジャースの重要な戦力になっている。ワールドシリーズ第2戦での1安打の好投は見事だった。えげつない投球をしていたし、これまでのメジャーキャリアで最大の先発機会で自己最高の出来だったことは彼がどういう投手かを物語っている。WBCでの自信に満ちた姿を見て由伸は世界最高級の投手だと話していたけど、今秋、彼はその能力を証明している」
――ワールドチャンピオンとなった大谷にメッセージを。
「コングラチュレーション、凄かったよともう一度伝えたい。今季の彼は本当にアンビリーバブルだった。いや、今年だけではない。去年はWBC優勝から始まり、リーグMVP受賞、史上最高額でのドジャースとの新契約、そして今年は50-50の達成、世界一への到達。またMVPを受賞するんだろうし、本当にとてつもない2年間を過ごしている。信じられないくらいだ」
――いずれまた大谷と一緒にプレーしたいという思いは?
「もちろんまた翔平とチームメイトになりたい。次のWBCでも一緒にプレーし、侍ジャパンの一員として連覇を目指すことができたとしたら最高だ。未来に何が起こるかはわからないけれど、私はカージナルスでの一員でいるのが大好きだ。だからメジャーでとなるとどうなるかは分からないけれど、WBCではぜひまたチームメイトになりたいね。メジャー史上最高の選手と一緒にプレーしたいと思わない選手はいないだろう。もちろん私もその中の1人だよ」